セッション情報 |
ワークショップ13(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化吸収学会合同)
NST活動の現状と問題点
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タイトル |
消W13-12:消化器外科主導NSTから食と栄養のトータルケアへ:専門病院におけるがん患者の総合的支援を目指して
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演者 |
鍋谷 圭宏(千葉県がんセンター・消化器外科) |
共同演者 |
永田 松夫(千葉県がんセンター・消化器外科), 永瀬 浩喜(千葉県がんセンター・研究局) |
抄録 |
【背景と現状】がん専門病院の当院では2005年に消化器外科主導のNSTが発足した.2011年に日本静脈経腸栄養学会の稼働施設認定を受け,NST加算算定を開始した.これに伴い,全ての患者と家族から直接栄養サポート依頼が可能なシステムを構築し,患者向けの広報ポスターを作成した.その結果,NST活動が患者中心になり,病棟スタッフの栄養管理に対する意識が向上したことを既に報告した.しかし,入院患者中心の現状のNST活動の問題点も示唆された.【問題点】(1)患者の高齢化,(2)医療の専門分化で,がん専門病院で必要な入院治療以外は転院や外来治療に移行,(3)治癒困難な多くの患者も治療継続による長期生存が稀ではない(当院外来化学療法は非根治的治療が88%),といった今日のがん治療をより支持するには,「在宅での栄養管理・副作用マネジメント」とコストのみに拘らない「緩和の心」が必要と考えた.【対策】栄養状態の維持・改善だけでなくQOLを良好に保つために,「口から美味しく食事を摂る」ことを全患者共通の目標とした.そのためには,現状のNST活動(根拠に基づいた栄養療法の推進)に加えて,様々な側面からの栄養関連サポートが個々の患者に対して統合的になされる必要がある.そこで当院では,「食と栄養トータルケアプロジェクトチーム」を立ち上げ,NSTの守備範囲を越えた総合的支援を目指している.即ち,抗がん剤治療時の味覚の変化や食欲低下の原因解明とその対策の構築,口腔のケア,褥瘡や人工肛門の皮膚排泄ケア,年齢・病態や嗜好を考慮した新しい食の開発,など多方面・多職種の専門メンバーが,患者の情報を共有して適切に支援するチーム医療の構築である.更に外来患者の支援手段として,携帯スマートフォン端末を利用して食事摂取状況や皮膚・粘膜障害など様々な情報を患者から経時的に収集・画像表示し,医療者側から在宅の患者に適切な栄養サポートを行える双方向性通信システムの確立を目指しており,今後の展望を報告する. |
索引用語 |
がん, 食と栄養 |