セッション情報 ワークショップ13(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化吸収学会合同)

NST活動の現状と問題点

タイトル 消W13-13:

NSTは外来からーNSTから始まるチーム医療の新展開ー

演者 鴨志田 敏郎(日立製作所日立総合病院・内科)
共同演者 丸山 常彦(日立製作所日立総合病院・外科), 岡 裕爾(日立製作所日立総合病院・内科)
抄録 2004年に日本医療機能評価機構の病院機能評価Ver.5でNSTの設置が取り上げられ2010年の診療報酬改定で栄養サポートチーム(NST)加算が新設された.NST稼働認定施設は急増し全国で1600を超える.これらは多職種によるチーム医療への評価と考えられる.しかし「NSTはできたものの」NST活動が停滞している病院も多いといわれている.当院は2005年6月にNST活動を開始.当初は回診依頼も多かったが年々低下し「NSTはできたものの」という状態に陥った.【目的】高齢化社会では栄養評価や介入が必要な方は入院患者ばかりではない.「NSTは外来から」の発想で外来NST活動を開始した.【方法】【成績】1)入院時の主観的包括的栄養評価(SGA)による消化管癌術前の栄養評価が術後在院期間や術後合併症発生数と関連し,SGAを用いた外来からの消化器癌術前栄養評価と術前栄養介入により術後在院期間が有意に短縮する.2)外来化学療法患者にMUST(malnutrition universal screening tool)を用いた栄養評価を行うと低栄養が多いことが判明.NST連携による栄養介入により栄養改善が得られる.3)消化器癌の患者さんはMUSTに加え悪液質の視点からの栄養評価とがん免疫栄養が効果的である.4)外来NST活動として肝臓病教室を開催した.5)テラプレビルを含む三剤併用療法をチームで導入しチェックシート作成,薬剤師外来で運用し副作用脱落例を減らした.など通常のNST回診と併行して活動し継続している.現在は厚労省チーム医療普及推進事業全国30施設に選定されチーム医療を普及推進する役割を担っている.【結論】チーム医療を実践し多職種がかかわるNSTは多くの場面で活動できる潜在的な能力を秘めている.当院ではいくつかのチームをNSTを母体にすることで短期間で混乱なく立ち上げることができた.新たな発想で活動することでNSTは活性化しチーム医療に新展開が生まれる.
索引用語 NST, チーム医療