セッション情報 ワークショップ14(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

胆道癌の胆管ドレナージの標準化-手術症例と非手術症例

タイトル 外W14-1:

術前胆管ドレナージの方法と膵頭十二指腸切除術後合併症の関連性

演者 川井 学(和歌山県立医大・2外科)
共同演者 谷 眞至(和歌山県立医大・2外科), 山上 裕機(和歌山県立医大・2外科)
抄録 【目的】術前胆管ドレナージに関する大規模なrandomized controlled studyでは,術前胆道ドレナージ群では胆道ドレナージに関する合併症を含めた全合併症率は非ドレナージ群と比較して有意に高かく,術前胆道ドレナージはルーチンに行うべきではないと結論している.しかし,術前放射線化学療法を行う場合や手術待機時間が長い場合は,閉塞性黄疸例において肝機能障害の悪化を防止するためには術前ドレナージは臨床的に必要である.膵頭十二指腸切除術(PD)施行例において,術後合併症の観点から有効な減黄処置方法を検討した.【方法】2005年4月から2011年12月に施行したPD施行症例343例中,減黄群154例と非減黄群189例での術後合併症を比較検討した.さらに減黄方法と術後合併症の関連性も検討した.【結果】減黄群において術後腹腔内出血の頻度は10例(6.5%)であり非減黄群2例(1.1%)に比較して有意に高かった(p=0.029).しかし減黄群と非減黄群において膵液瘻などの他の合併症の発生率には有意差は認めなかった.次に減黄群154例における減黄方法について検討した.減黄方法の内訳は外瘻群70例(ENBD15例,PTCD44例,PTGBD11例),内瘻群84例(ERBD82例,胆管ステント2例)であった.減黄群において,減黄中胆管炎の発生率は,外瘻2例(2.8%),内瘻19例(22.6%)と内瘻群に高かった(P=0.001).術後臨床的膵液瘻(ISGPF gradeB/C)の発生は内瘻群で有意に高かった(外瘻群7例:10%,内瘻群18例:21.4%;P=0.043).術前減黄中胆管炎の発症を認めた症例(n=21)は,認めなかった症例(n=133)と比較して,術後合併症を有意に多く発症した(56.3% vs. 36.9%;P=0.05).【結語】内瘻による胆管ドレナージ術は減黄中胆管炎を発症する危険性が高く,術後合併症の発生頻度も高くなる.このため減黄方法の選択および術前胆管炎防止のために厳重な管理が必要である.
索引用語 胆管ドレナージ, 膵頭十二指腸切除術