セッション情報 ワークショップ14(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

胆道癌の胆管ドレナージの標準化-手術症例と非手術症例

タイトル 内W14-3:

胆道癌における閉塞性黄疸例の術前ドレナージ法の検討

演者 横山 政明(杏林大・外科)
共同演者 鈴木 裕(杏林大・外科), 杉山 政則(杏林大・外科)
抄録 【目的】胆道癌閉塞性黄疸例は,胆道感染のコントロールと減黄を主たる目的に施行される.胆道癌における閉塞性黄疸例の術前ドレナージ法を検討し,ドレナージ後胆管炎や術後肝不全のリスクファクターを明らかにする.【対象と方法】2008年1月から2012年12月までの5年間で,閉塞性黄疸で術前ドレナージを施行し,根治術が可能であった胆道癌症例38例(肝門部胆管癌:8例,中下部胆管癌:21例,乳頭部癌:9例),男性25例,女性13例,平均年齢70歳(53-85歳)であった.ドレナージ方法,チューブ径,ドレーン留置期間とドレナージ後胆管炎の有無,術後肝不全合併の有無を検討した.【結果】術前ドレナージ法はPTBD1例(3%),ENBD 27例(71%),EBD7例(18%),ENBD+EBD(両葉ドレナージ) 3例(8%),平均ドレーン留置期間は38日であった.術式はPpPD29例,SSPPD1例,右葉切除術6例,拡大右葉切除術2例であり,PD群30例(79%), 肝切群8例(21%)に大別すると術後肝不全はPD群には1例も認められなかった.肝切群において術後肝不全合併は8例中3例(38%)であった.ドレナージ後胆管炎は10例(26%:ENBD8例(21%),EBD2例(5%))に認められた.術前ドレナージ法とドレナージ後胆管炎の有無とは有意差は認められなかったが,ENBD27例中5Frが18例(うちドレナージ後胆管炎8例),7Frが9例(うちドレナージ後胆管炎0例)であり,5Frにドレナージ後胆管炎が有意に多かった.ドレーン留置期間とドレナージ後胆管炎の有無や,初診時T-bil値,術直前T-bil値と術後肝不全との間にも有意差は認められなかった.また,肝切群の術前ドレナージ法と術後肝不全との間にも有意差は認められなかった.【結論】術前ドレナージ法は症例に応じて内瘻・外瘻を選択してよいが,ENBD施行時はドレナージ後胆管炎の観点から5Frよりも7Frが推奨される.
索引用語 胆道癌, 術前ドレナージ