セッション情報 ワークショップ14(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

胆道癌の胆管ドレナージの標準化-手術症例と非手術症例

タイトル 消W14-4:

肝門部胆道癌術前の内視鏡的経鼻胆道ドレナージ

演者 川嶋 啓揮(名古屋大大学院・消化器内科学)
共同演者 廣岡 芳樹(名古屋大附属病院・光学医療診療部), 後藤 秀実(名古屋大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】当科は内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)にて83.3%の症例で減黄が得られ,乳頭切開術(EST)既往がENBD後胆管炎(28.8%発生)の,膵管造影がENBD後膵炎(20.1%発生)の有意なrisk factorであるという肝門部胆道癌術前ENBD施行164例の成績を報告した(Ann Surg 2013; 257: 121-127).この結果を踏まえ,その後に施行した肝門部胆道癌術前ENBDの成績を検証することを目的とした.【方法】対象は2011年1月から2012年12月までにCTにて片葉+尾状葉切除以上の手術が必要な肝門部胆道癌が疑われ,ENBDを施行した132例(男性75例,女性57例).胆管像を得た後に,管腔内超音波検査,胆管生検を必要に応じて施行し予定残肝胆管枝にENBD tubeを留置して終了し,EST,不要な膵管造影は付加していない.これらの症例について目的胆管枝への挿入率,ドレナージ効果,偶発症について検討した.【成績】全例(Bismuth-Corlette分類,I:5例,II:13例,IIIa:39例,IIIb:19例,IV:56例)で胆管造影は可能であり,目的胆管枝への挿入は124例(93.9%)で可能,不能例中6例でPTBDが施行された.43例に前医でのEST既往があり,膵管ガイドワイヤー法,併存する膵疾患診断などの目的で膵管造影が33例に施行された.ENBD術前黄疸を認めた症例中,手術施行した32例中30例(93.8%)の症例で減黄が得られた.ENBD後膵炎を17例(12.9%,mild 16例,moderate1例,11例が膵管造影施行例),ENBD後胆管炎を18例(13.6%,11例がEST既往例)で合併した.13例(9.8%)で逸脱などのため再ENBD留置を要した.最終診断胆道癌125例中,87例(69.6%)がENBD手技1回でmoderate以上の膵炎を合併せず,再ドレナージ不要で経過し,90例(72%)で片葉+尾状葉切除以上の手術が施行された.ドレナージ不良,内視鏡手技偶発症が原因での手術不能例は認めなかった.【結論】1回のENBD手技により肝門部胆道癌の約70%の症例で重篤な偶発症なく術前のドレナージが可能である.Risk factorを考慮した手技により偶発症は減少していた.
索引用語 肝門部胆管癌, ENBD