セッション情報 ワークショップ14(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

胆道癌の胆管ドレナージの標準化-手術症例と非手術症例

タイトル 消W14-8追:

中下部悪性胆道閉塞に対する12mm径胆道ステントの使用経験

演者 山田 友世(静岡県立総合病院・消化器内科)
共同演者 菊山 正隆(静岡県立総合病院・消化器内科)
抄録 【目的】中下部悪性胆道閉塞に対し,covered metallic stentによるドレナージの有用性が知られているが,高率なmigrationが問題である.12mmのステント径で,両端のフレア構造と異なる大きさのステントセルによるanti-migration systemを有するfully-covered metallic stent,Niti-S SUPREMO-12が市販された.SUPREMO-12の使用経験をもとに,12mm径胆道ステントの臨床利用について検討する.【方法】2012年7月以降,当院で切除不能の中下部悪性胆道閉塞と診断され,初回のmetallic stentとしてSUPREMO-12を使用した17例について,2013年2月末までの治療成績を調査した.【成績】平均年齢69歳,男性11例女性6例.診断は膵癌9例,胆道癌6例,播種性胆道狭窄2例.ステント留置成功率は88.2%(15/17)で,不成功例はキンクによる展開困難1例と高度閉塞によるデリバリーシステムの挿入困難1例であった.観察期間中央値55日(5~233日)で,ステント閉塞は1例(6.3%),留置後174日目にdistal migrationを認めたため抜去した.偶発症は拡張不良1例,肝膿瘍1例で,膵炎や胆嚢炎は認めなかった.EST施行例はなく,EPS留置1例であった.【結論】当院でのmetallic stent留置成功率は96.3%で,SUPREMO-12は挿入不成功率が高く,原因として太いステント径に伴う外筒径の増大が一因と考えられた.従来のNiti-S fully-covered metallic stent(8mmと10mm径)ではmigrationを10%(1/10例)で認め,留置からの期間は80日であり,SUPREMO-12のanti-migration systemは有効と考える.当院では急性膵炎の発症は認めず,予防的ESTの施行は全例で行う必要はなく,症例毎の考慮を要すると考えられた.長期成績と症例の蓄積を待つ必要があるが,SUPREMO-12は中下部悪性胆道閉塞に対し有効なデバイスとなる可能性が示唆される.しかし,径の拡大に伴う留置手技の工夫の周知やデバイスの更なる改良が,今後の最大利用につながると考えられた.
索引用語 胆道ステント, 悪性胆道閉塞