セッション情報 ワークショップ14(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

胆道癌の胆管ドレナージの標準化-手術症例と非手術症例

タイトル 内W14-11:

非切除胆道癌の肝門部閉塞に対する内視鏡的Metallic stenting―片葉か両葉か―

演者 木暮 宏史(東京大附属病院・光学医療診療部DELIMITER東京大・消化器内科)
共同演者 伊佐山 浩通(東京大・消化器内科), 小池 和彦(東京大・消化器内科)
抄録 【背景・目的】非切除胆道癌の肝門部閉塞に対するドレナージはstrategyが標準化されていない.当科でも以前は内視鏡的片葉Metallic stent(MS)留置が第一選択であったが,近年は肝門部専用のMSであるNiti-S Large Cell D-type(LCD)の臨床評価を行っている.今回,LCDを用いた両葉MSと過去の片葉MSの成績を比較検討した.【対象・方法】対象は非切除胆道癌によるBismuth type II~IVの肝門部閉塞症例.2002年2月から2008年10月までに内視鏡的片葉MS留置した31例(片葉MS群)と,2010年7月から2012年12月までconsecutiveに内視鏡的両葉MS留置した26例(両葉MS群)を比較した.【結果】原疾患は片葉MS群(肝門部胆管癌11,胆嚢癌14,肝内胆管癌6),両葉MS群(肝門部胆管癌13,胆嚢癌11,肝内胆管癌2),Bismuth typeは片葉MS群(II/III/IV: 11/11/9),両葉MS群(II/III/IV: 12/7/7)で両群間に差を認めなかった.使用したMSは片葉MS群はLCD 6, SMART 8, JO 7, ZEO 6, その他4,両葉MS群は全てLCDであった.初回留置成功率は片葉MS群100%,両葉MS群96%で差を認めなかった.ステント閉塞は片葉MS群で12例(39%),両葉MS群で11例(42%)に生じ,差を認めなかった.閉塞原因は片葉MS群でtumor ingrowth 8例,tumor overgrowth 1例,kink 2例,胆泥1例,両葉MS群でtumor ingrowth 3例,胆泥6例,腫瘍出血1例,ステント拡張不良1例であり,胆泥による閉塞が有意に両葉MS群で多かった.閉塞以外の偶発症は片葉MS群で11例(35%),両葉MS群で3例(12%)に認め,片葉MS群で胆管炎7例,胆嚢炎2例,肝膿瘍2例,両葉MS群で胆嚢炎2例,肝膿瘍1例であり,片葉MS群で有意に胆管炎が多かった.50%ステント開存期間は片葉MS群224日,両葉MS群157日,生存期間中央値は片葉MS群353日,両葉MS群473日であり,差を認めなかった.【結論】肝門部専用MSを用いた両葉MSは,成功率,ステント開存は片葉MSと遜色ないが非ドレナージ領域の胆管炎が減り,肝門部閉塞に有望な選択肢の一つである.
索引用語 肝門部閉塞, Metallic stent