セッション情報 ワークショップ14(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

胆道癌の胆管ドレナージの標準化-手術症例と非手術症例

タイトル 内W14-12:

切除不能肝門部悪性胆道狭窄に対するmetallic stentを用いたマルチステンティング

演者 内田 大輔(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学)
共同演者 加藤 博也(岡山大病院・消化器内科), 山本 和秀(岡山大病院・消化器内科)
抄録 【目的】切除不能胆道癌は,化学療法を継続する上で,黄疸,胆管炎の管理が非常に重要である.当院では,肝門部の悪性胆道狭窄に対して,metallic stent(MS)を用いたマルチステンティングによる内視鏡的ドレナージを第一選択としているが,その是非についてはコンセンサスが得られていない.当院における成績を検討し報告する.【対象と方法】対象は2003年3月から2013年3月までに化学療法を行った肝門部狭窄を伴う切除不能胆道癌の内,MSによるマルチステンティングを施行した77例.患者背景は,平均年齢66.1歳(41-88),男女比49:28,胆管癌57例,胆嚢癌20例であった.これらの症例に対して,partial stent-in-stent法によるMSのマルチステンティングを行い,gemcitabine(GEM),cisplatin(CDDP),TS-1による化学療法を行った.MS閉塞に対してはMS内にplastic stent(PS)を留置し加療継続することとし生存期間,MSの開存期間について検討した.【結果】化学療法の内訳はGEM+CDDP:GEM:TS-1=5:55:17.生存期間中央値は306日(41-1748),MSの開存期間中央値は143日(27-1590)であった.抗腫瘍効果はDisease control(DC):Progressive disease(PD)=52:25(DC rate 67.5%)であった.ドレナージ領域数は,4枝:3枝:2枝=7:29:41であった.全体ではドレナージ領域数による生存期間,開存期間に有意差を認めなかったが,DC群のみで検討すると開存期間中央値は4枝or3枝(n=36):2枝(n=41)=310:208日で,前者は後者より有意に開存期間が延長していた(p=0.0399).【結論】MSのマルチステンティングは開存期間の延長に寄与し,効果的な化学療法を行うことが可能である.
索引用語 肝門部胆管癌, マルチステンティング