セッション情報 ワークショップ14(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

胆道癌の胆管ドレナージの標準化-手術症例と非手術症例

タイトル 内W14-13追:

切除不能悪性肝門部胆管狭窄に対する胆道ステンティング-CTボリュームメトリーを用いたステント留置法の選択-

演者 高橋 英(山梨大附属病院・消化器内科(1内科))
共同演者 深澤 光晴(山梨大附属病院・消化器内科(1内科)), 榎本 信幸(山梨大附属病院・消化器内科(1内科))
抄録 【目的】肝門部胆道狭窄は,ドレナージ法の選択が重要であるが,そのstrategyについては一定のコンセンサスが得られていない.CTボリュームメトリー(CTV) によりステント留置による推定ドレナージ容積(EDV)を計算し,ステント成績について検討した.【方法】切除不能悪性肝門部胆道狭窄に対して胆道ドレナージを行った62例を対象とした. CTVにて肝区域の容積を求め,胆管狭窄形態を考慮したEDVを算出し,ドレナージ効果と早期合併症について検討を行った.【結果】初回ステント留置によるドレナージ奏功は27例(63%)であった.ドレナージ良好群と不良群で検討すると,Bismuth分類,EDV,肝機能低下(肝硬変または門脈浸潤)において両群間に有意差を認めた.ステント本数や片葉/両葉ドレナージでは両群に有意差を認めなかった.多変量解析では,EDV (OR 2.1,95%CI 1.31-3.45)と肝機能低下(OR 0.18,95%CI:0.04-0.76)がドレナージ効果に影響する独立因子であった.ROC解析により,肝機能ごとのEDV cut off値を算出すると,肝機能良好群(A):33%,低下群(B):50%であった.ドレナージ奏効率は,A群:EDV 33%未満 36% vs 33%以上 89%であり ,B群:EDV 50%未満 25% vs 50%以上 86%であり,両群ともに有意差を認めた.合併症は胆管炎を6例に認めた.胆管炎関与因子について検討すると,胆管炎6例は非胆管炎56例に比べてEDVが小さかった(31 %vs 46%, P=0.05)【結語】切除不能悪性肝門部胆道狭窄のドレナージには,肝機能とドレナージ容積が重要であり,肝機能良好例では全体の1/3以上,非代償性肝硬変および門脈浸潤を有する症例では全体の1/2以上のドレナージが必要である.ERCPを行う前に,肝機能の評価(肝硬変,門脈浸潤の有無)とCTによる肝容積分布の評価を行い,適切なドレナージ戦略を組み立てることが重要である.
索引用語 切除不能悪性肝門部胆道狭窄, CTボリュームメトリー