セッション情報 ワークショップ14(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

胆道癌の胆管ドレナージの標準化-手術症例と非手術症例

タイトル 内W14-15:

切除不能胆道狭窄でのEUS下胆道ドレナージの位置づけ

演者 今井 元(近畿大・消化器内科)
共同演者 北野 雅之(近畿大・消化器内科), 工藤 正俊(近畿大・消化器内科)
抄録 【目的】切除不能胆道狭窄において,経乳頭的ドレナージが第一選択であるが,様々な事由により経乳頭的ドレナージが困難な場合,EUS下胆道ドレナージ術(EUS-BD)が代替治療として注目されている.今回,経乳頭的治療困難例に対するEUS-BDを施行し有用性を検討した.【方法】2012年12月までに実施した105例を対象とした.ドレナージルートの選択は下部胆管狭窄であればEUS下choledochoduodenostomy (CDS),肝門部胆管狭窄であればEUS下hepaticogastrostomy (HGS)とし,一部は穿刺部より順行性にステント挿入し狭窄部に留置するAntegrade stenting(AS)を同時に実施した.また下部胆管狭窄においてCDSが困難な症例にはEUS下gallbladder drainage(GBD)を施行した.症例によってはRendezvous法(RV)を実施する.検討項目は手技成功率,臨床症状改善率,手技時間,偶発症発生率とし,ドレナージルート,ステントの種類の間を比較した.【結果】CDS30例,HGS34例,AS15例,GBD9例,RV17例であった.それぞれの手技成功率は96.7%,96.6%,79.4%,100%,88.2%であり,臨床症状改善率は96.4%,89.3%,86.7%,87.5%,100%であった.平均手技時間は64.3分,77.5分,68.4分,93.4分,95.5分であり,偶発症発生率は26.7%,32.4%,13.3%,11.1%,5.9%であった. ステント閉塞によるRe-interventionはHGSおよびCDSにそれぞれ1例に対して実施した.全体の平均観察期間は70.8日であり,術後生存期間(78.2日)とほぼ一致していた.CDS,HGS,GBDにおいてプラスチックステント(PS),金属ステント(MS)はそれぞれ40例,45例に使用した.平均手技時間はPS群で72.1分,MS群70.7分と有意差はなかった.(P=1)偶発症の発生率は34.1%,17.8%であり,MS群に低い傾向にあった.平均開存期間はPS群が68.8日でMS群が90日であり,統計学的有意差は認めなかった.(P=0.24)【結語】従来,経乳頭的ドレナージが困難な症例ではPTCDが一般的であったが,癌末期患者にQOL維持の観点でEUS-BDは有用であると考えられた.
索引用語 胆道ドレナージ, EUS-intervention