セッション情報 ワークショップ15(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

門脈圧亢進症-治療法の選択とその成績

タイトル 肝W15-5:

食道胃静脈瘤に対する治療戦略 -治療の変遷と外科治療の意義-

演者 赤星 朋比古(九州大・先端医療医学DELIMITER九州大・消化器総合外科)
共同演者 橋爪 誠(九州大・消化器総合外科), 前原 喜彦(九州大・先端医療医学)
抄録 【はじめに】本邦においては,食道静脈瘤においては内視鏡治療,胃静脈についてはB-RTOが第一選択としている施設が多いが,より低侵襲かつ入院期間の短縮が望まれる.【目的】当科における内視鏡治療の変遷とその成績,また難治性食道胃静脈瘤に対する腹腔鏡下脾摘およびHassab手術の臨床的意義について検討した.【対象・方法】内視鏡治療を導入した1982年から2012年までの2750例.内視鏡的硬化療法を第一選択とした1450例(EIS群),2003年からは低侵襲性からEVLを第一選択とし(EVL+EIS群:275例),2005年からは,食道静脈瘤に対してはEVL治療のみとし,C型肝炎症例には,脾摘先行インターフェロン+リバビリン療法,B型肝炎症例には核酸アナログ製剤による抗ウイルス療法を積極的に行った(EVL群:320例).またB-RTO不能な難治性胃静脈瘤に対しては腹腔鏡下脾摘およびHassab手術を行った.再発率および出血率,肝炎治療による静脈瘤の再発への効果について検討した.【結果】5年累積出血率はEIS群(3.7%),EVL+EIS群(3.6%),EVL群(2.6%)にて有意差を認めなかった.食道静脈瘤再発においては,脾摘後のウイルス著効群における再発率は低率であった.また難治性食道胃静脈瘤に対する腹腔鏡下(用手補助下)のHassab手術は開腹Hassab手術と長期成績において遜色がなく有用であった.【まとめ】抗ウイルス療法は門脈亢進症の進展を抑制する.門脈圧亢進症に対する脾摘およびHassab手術は腹腔鏡手術の進歩により,より低侵襲に可能となってきており,その意義は大きいものと考えられた.
索引用語 門脈圧亢進症, 脾摘