セッション情報 |
ワークショップ15(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)
門脈圧亢進症-治療法の選択とその成績
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タイトル |
消W15-6:肝予備能温存を目的とした集学的食道静脈瘤治療~BCAA経腸栄養剤投与と内視鏡的硬化療法による前向き比較試験~
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演者 |
古市 好宏(新座志木中央総合病院・消化器・肝臓内科) |
共同演者 |
森安 史典(東京医大・消化器内科), 今井 康晴(東京医大・消化器内科) |
抄録 |
【緒言】内視鏡的硬化療法(EIS)は食事制限が必要なため,肝硬変(LC)患者の栄養状態を悪化させ,肝機能を低下させる可能性がある.【目的】EISがLC患者に対して栄養障害を来すかどうか明らかにする.またEIS時に開始したBCAA含有経腸栄養剤がもたらす効果を明らかにする.【対象と方法】LC 61人のうち,EIS単独治療群をA群(31例,64.3±9.7歳),EIS+BCAA含有経腸栄養剤治療群をB群(30例,66.8±11.3歳)と無作為に割り付けし(性差,年齢,Child-Pughスコアに有意差無し),倫理委員会承認のもと,血小板数,肝機能検査値,身体測定値(BMI,%AMC,%TSF)を計5回(術前,EIS1週目,2週目,退院時,3か月後)前向き調査した.【結果】全例でEVは消失した.単群比較では,両群ともEIS1週目からBMI,%AMC,%TSFが有意に低下した(p<0.05,paired t test).血小板数は,A群では低下した(術前7.3±3.3→4週目6.9±4.0万/μl,p=0.01,paired t test)が,B群では上昇した(術前7.6±3.5→2週目8.6±3.8万/μl,p=0.01).2群間比較(A vs B群)では,術前に同程度であった血小板数(7.3±3.3 vs 7.6±3.5,p=NS,student t test)が,治療3か月後にA群で低下しB群で上昇した(6.6±3.4 vs 8.5±4.1,p=0.019).BTR値は,2週目以降,A群に比べB群で有意に上昇していた(p=0.03,student t test).またNH3値はB群で早期からの改善を認めた.【結語】EISはEVを効果的に消失させたが,蛋白代謝異常と血小板数低下をもたらした.しかし,EIS治療時にBCAA含有経腸栄養剤を内服させることは,血小板数を改善させ,肝機能の改善にも効果的であったため集学的治療の一環として重要であると考えられた. |
索引用語 |
BCAA, 食道静脈瘤 |