セッション情報 ワークショップ15(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

門脈圧亢進症-治療法の選択とその成績

タイトル 肝W15-7:

門脈圧亢進症治療における部分的脾動脈塞栓術(PSE)の長期成績

演者 谷合 信彦(日本医大・外科)
共同演者 吉田 寛(日本医大多摩永山病院・外科), 内田 英二(日本医大・外科)
抄録 【目的】教室では門脈圧亢進症治療において,部分的脾動脈塞栓術(PSE)が有効であることを今まで報告してきた.今回,PSEの長期成績を検討した.【方法】2002~2012年の11年間に170例189回, PSEを施行した.PSEの方法は2002年よりマイクロカテーテルにより選択的に脾上中下極枝にカテーテルを挿入し,ジェルフォームにて約70%塞栓を基本とした.血小板数,肝機能(Alb, T-Bil, PT)の変化を検討した.観察期間は平均23.3か月(1~114)でC症例は最長60か月であった.【成績】症例の内訳は男111:女78,年齢59.6±10.3歳.62例にHCCを合併し,Child A 81例,B 71例,C 37例であった.術前血小板は7.3X104/mm3で術後2週間12.4X104/mm3,2年9.3X104/mm3と術前より有意に上昇した.術後4, 6 ,8 , 10年目のそれぞれの術前値との変化率は1.56, 1.83, 2.53, 0.83と術後8年目まで術前値より有意に高値であった.Child分類別ではChild A, C症例がB症例に比較し高かった.Alb, T-Bil, PTの術前値はそれぞれ7.3g/dl, 1.5mg/dl, 65.5%で,Child分類別でそれぞれ有意な差があった.術後2, 4, 6, 8, 10年目の変化率はそれぞれ,1.20, 1.01, 0.85, 0.91, 0.94と2.32,4.37 4.70, 4.09, 3.20と1.21, 1.11, 0.92, 1.10, 1.00であった.Alb, PTは術後2年目まで有意に術前値より高値であったが,T-Bは術後2年目より術前値より悪化していた.Child分類別ではAlb, PTにおいては差がなかったが,T-Bilの変化率は術後2, 4年目はそれぞれA 5.8, 5.1, B 2.8, 4.4, C 0.90, 1.7とC症例はA, B症例に比較し有意に低値であった.【結論】PSEの長期予後において血小板数は長期にわたり術前より改善されていた.特にChild C症例にその効果が著明に表れた.しかし,Alb,T-Bil, PTに対するPSEによる改善効果は4年以降にはなかった.
索引用語 PSE, 門脈圧亢進症