セッション情報 |
ワークショップ15(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)
門脈圧亢進症-治療法の選択とその成績
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タイトル |
外W15-8:脾機能亢進症に対する脾臓摘出術の検討
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演者 |
徳久 善弘(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学) |
共同演者 |
爲佐 卓夫(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 岡 正朗(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学) |
抄録 |
【目的】脾機能亢進症に対して施行した脾臓摘出術の意義と合併症について検討した.【対象】1999年から2012年の慢性肝障害を伴う脾摘症例118例を対象.【方法】(1)臨床学的検査の推移について検討.(2)門脈血栓の検討と合併症の危険因子を,患者因子(年齢,性別,糖尿病の有無),手術因子(手術時間,出血量,併施手術の有無,HCCに対する手術の有無,肝切除の有無),肝機能因子(アルブミン,ビリルビン,プロトロンビン時間,GOT,GPT,血小板数,Child分類)で検討.【結果】(1)平均年齢61.6歳.背景肝はLC:CH=104:14,Child-Pugh A:B=71:47.術式は,脾摘単独が43例,併施手術が75例で,主な併施手術はHCC55例に対して肝切除37例/焼灼術19例(重複含む),静脈瘤に対して血行郭清術16例であった.2005年以降,鏡視下手術を導入し,用手補助腹腔鏡下手術が76例であった.血小板,白血球(術前5.4万/μl,2876/μl)は,ともに術後1ヶ月 (20.9万/μl,5633/μl)をピークに術後3年(15.9万/μl,4931/μl)まで有意に増加した(p<0.001).肝機能に関して,プロトロンビン時間(術前71.2%)が術後1年(75.3%)から術後3年(81.9%)まで有意に上昇した(p<0.001).(2)合併症は63例(53.4%)に認め,主な合併症は腹水貯留22例,門脈血栓19例,胸水貯留13例,呼吸器合併症6例,膵炎6例,在院死2例であった.Clavien-Dindo分類でGrade1/2/3/4/5=6/36/18/1/2.門脈血栓に対して,術直後よりダナパロイドナトリウム+アスピリンによる予防的抗凝固療法を導入し,発生率が有意に低下した(抗凝固療法あり8例(10.7.%) vs なし11例(26.2%),p=0.03).合併症発生の危険因子の単変量解析では,手術時間,出血量のみで有意差を認め,多変量解析では出血量のみが独立危険因子であった(p=0.023)【考察】脾機能亢進に対する脾摘術は長期的に汎血球減少を改善し,肝機能をも改善する.出血に十分に留意して手術を行うことが最も肝要である. |
索引用語 |
脾機能亢進症, 脾臓摘出 |