セッション情報 ワークショップ17(消化器病学会・消化器外科学会合同)

胃癌に対するロボット手術,内視鏡外科の現況と将来

タイトル 外W17-1:

体腔内B-I再建(デルタ吻合)を用いた完全腹腔鏡下幽門側胃切除術(LDG)の治療成績

演者 山崎 公靖(昭和大病院・消化器・一般外科)
共同演者 村上 雅彦(昭和大病院・消化器・一般外科), 加藤 貴史(昭和大病院・消化器・一般外科)
抄録 【はじめに】教室では1999年より早期胃癌に対し腹腔鏡手術を導入し,手術手技の安定に伴い2005年より一部の進行胃癌にも適応を拡大して行っている.また,導入当初は小切開を置いて胃十二指腸吻合を直視下に行う腹腔鏡補助下幽門側胃切除術(以下LADG)を行っていたが,2005年よりさらなる低侵襲を目的に体腔内Billroth-I法再建(デルタ吻合)による完全腹腔鏡下幽門側胃切除術(以下LDG)を行っている.【目的】教室で行っているLDGの治療成績をLADGと比較し検証する.【対象と方法】2005年から2012年までにLDGを施行した137例(LDG群)と1999年から2008年までにLADGを施行した62例(LADG群)を対象とした.性別,年齢,病理学的進行度,郭清範囲,根治度,手術時間,出血量,郭清リンパ節個数,術後在院日数,術後合併症について検討した.【結果】LDG群はLADG群と比較して病理学的進行度が進んでいた(P<0.001).性別,年齢,リンパ節郭清範囲,根治度に両群間で有意差を認めなかった.手術時間はLDG群が219分(95-420分),LADG群が287分(155-425分)でありLDG群で有意に短かった(P<0.001).出血量はLDG群が86mL(0-600mL),LADG群が121mL(5-1035mL)で有意差はないもののLDG群で少ない傾向が認められた(P=0.0646).術後在院日数は両群ともに12日であり有意差は認められなかった.術後合併症はLADG群で出血1例,縫合不全1例,吻合部狭窄1例,腹腔内膿瘍1例,胃内容排泄遅延1例,その他1例(肺炎)の6例(9.7%)に,LDG群は吻合部狭窄3例,腹腔内膿瘍3例,胃内容排泄遅延2例,その他2例(麻痺性腸閉塞,肺炎)の10例(7.3%)に合併症が生じたが,両群間に有意差は認めなかった.【結語】LDG群はLADG群と比べて進行度が進んだ症例が多かったが短期治療成績は良好なものであった.今後は長期治療成績の検討と進行胃癌に対するD2郭清の手技の定型化が重要であると考えられた.
索引用語 胃癌, 腹腔鏡手術