セッション情報 ワークショップ17(消化器病学会・消化器外科学会合同)

胃癌に対するロボット手術,内視鏡外科の現況と将来

タイトル 外W17-3:

当科における胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術の運用と成績

演者 山本 篤(大阪市立総合医療センター・消化器外科)
共同演者 六車 一哉(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 山下 好人(大阪市立総合医療センター・消化器外科)
抄録 胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術(LG)は急速に普及しているが,その手技や機器も進歩しておりわれわれはこれまでに約1100例LGを行ってきており,年々その適応を徐々に拡大し,現在では胃全摘が必要な進行胃癌に対してもD2郭清,小切開をおかずに再建を行う完全鏡視下胃全摘術を行うようになっている.今回当科での腹腔鏡下胃切除術のチーム形成と運用方法,手術手技と治療成績とその普及に向けての提言を述べる.まずLGの運用に関しては手引書やビデオ,講習会を通してLGの手技のみならずセッティングや使用機器の定型化を行っている.また外科医の教育法として,ドライラボからウェットラボ,実際の手術においてもスコピスト,前立ち,術者へとこなしていき,さらに術者においてもLGを手術パートに分けたポイント術者となるStep-by-step教育を行っている.さらに治療成績では,D2郭清を施行したLGを施行した症例は484例であり,幽門側胃切除術378例,噴門側胃切除術15例,胃全摘術88例,残胃全摘術3例であった.D2郭清を施行したLGでの合併症は61例(12.9%)にみられた.術式別に見ると,縫膵液瘻,腹腔内膿瘍は胃全摘術でやや高い傾向にあった.1999年から2006年の施行症例(観察期間の中央値1330日)でのStage2および3でのステージ別5年生存率はfStage2(54例)で75.6%,fStage3(22例)で70.3%であった.再発は9例(11.9%)に認められ,肝転移再発2例,腹膜播種3例,遠隔転移2例,再発形式不明2例であり,同時期の開腹術の成績と遜色なかった.LGは今後の運用方法や教育ならびに手術機器・手技の発展・工夫により胃切除術としての標準治療となる可能性が高いと考えられる.
索引用語 胃癌, 腹腔鏡下胃切除術