セッション情報 ワークショップ17(消化器病学会・消化器外科学会合同)

胃癌に対するロボット手術,内視鏡外科の現況と将来

タイトル 外W17-4指:

用手補助腹腔鏡下胃切除術を知っていて実際にできることが大切である

演者 松田 年(日本大・消化器外科)
共同演者 萩原 謙(日本大・消化器外科), 田部井 英憲(日本大・消化器外科)
抄録 【はじめに】演者は1996年に腹腔鏡補助下幽門側胃切除を開始.1998年には用手補助腹腔鏡下幽門側胃切除術(HALDG)を取り入れ噴門側胃切除術,胃全摘術へと手技の改良を進めていった.2002年に手技の定型化を終了し進行癌に対して適応拡大している.現時点では完全腹腔鏡下手術,Reduced port surgery(RPS)も行っているが,改めて用手補助腹腔鏡下胃切除術(HALG)の重要性について述べたい.
【対象】現在までに行った腹腔鏡下胃切除術373例中,243例にHALGを施行してきた.その内訳は幽門側胃切除(DG,PPG)173例,噴門側胃切除(PG) 1例,胃全摘(TG:膵脾合併切除を含む)51例である.そのうち現施設で行ったHALDG 52例と腹腔鏡下幽門側胃切除(LDG) 50例を比較検討した.検討項目は手術時間,出血量,郭清リンパ節個数,鎮痛剤使用回数,歩行開始日,発熱回数でである.
【結果】手術時間はHALDG199分,LDG236分で有意にHALDG群が短く(p=0.001),出血量はそれぞれ46g,4.5gでLDG群の方が少なかった(p<0.0001).郭清リンパ節個数,鎮痛剤使用回数,歩行開始日,発熱回数に有意差は認められなかった.
【まとめ】HALGは手術時間の短縮に奇与し侵襲はLDGと同程度であった.特に重複癌症例,残胃癌症例,進行癌症例には有効であり,No.16番リンパ節生検や膵脾合併切除症例も完全内視鏡下手術にくらべ比較的容易である.HALGは腹腔鏡下手術の一法として会得するべき手技と思われた.
索引用語 用手補助腹腔鏡下胃切除術, 腹腔鏡下胃切除術