セッション情報 ワークショップ17(消化器病学会・消化器外科学会合同)

胃癌に対するロボット手術,内視鏡外科の現況と将来

タイトル 外W17-7:

手術支援ロボットda Vinci Surgical System(DVSS)導入期における現状と問題点ー腹腔鏡下手術との比較からー

演者 西 正暁(徳島大・外科)
共同演者 島田 光生(徳島大・外科), 栗田 信浩(徳島大・外科)
抄録 目的: 胃癌に対する手術支援ロボットda Vinci Surgical System(DVSS)は,保険適応など経済面での支援がなく,十分普及していないが,3Dハイビジョンによる明瞭な視野,手振れ補正,スケール変更可能な関節機能をもつinstrumentによる精密な手術が期待される.地方大学での導入経験から,現状と問題点を報告する.対象・方法: 2011年11月からDVSSを導入し,幽門側胃切除(DG)5例,胃全摘(TG)2例を施行した.初期3例のDGは,胃切除の終了までプロクターの指導を受け,Roux-en-Y再建はDVSSをロールアウトし,小開腹創から行った.残り4例は通常のLAGと同じスタッフでDG・TG各2例施行,DG2例,TG1例はR-Y再建も含めDVSSにて行った.2011年以後のLAG(DG 50例,TG 20例)を比較検討した(再建: 全例R-Y,LADG 腹腔内吻合23例 小開腹 17例,LATG全例overlap法で腹腔内吻合).結果: カメラポート挿入からロールイン終了は第4例目まで50-65minを要したが,その後3例はスタッフの訓練の結果30-35minとなった.胃切除終了までのDVSS使用時間は256-385min,後4例(プロクターなし)では256-364minであり,LAGの同時間140-210min(中央値195min)に比し長時間であった.6番リンパ節郭清時間は82-90min(中央値85min)で,LAGの同時間30-60min(中央値 45min)に比し,長時間を要した.再建はDG: 75, 85min,TG 105minで,LAGの同時間の中央値DG 42min,TG 93minで,胃切除時間より差は小さかった.術後合併症はDG 1例に残胃排出遅延(再建は小開腹下),LAGでは縫合不全(minor)1例(TG),膵液瘻2例,残胃排出遅延3例であり,DVSS操作による合併症はない結果であった.結論: DVSSによる胃切除術は合併症なく安全に導入可能であった.胃切除・リンパ節郭清に長時間を要する点が問題であり,術者のトレーニング・症例蓄積とスタッフの訓練で短縮する必要がある.
索引用語 胃癌, da Vinci Surgical System