セッション情報 ワークショップ18(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

治療困難病変に対する胃ESDの実際,工夫 ≪ビデオ≫

タイトル 内W18-1:

胃ESD切除困難病変の特徴とその対策

演者 阿部 清一郎(国立がん研究センター中央病院・内視鏡科)
共同演者 小田 一郎(国立がん研究センター中央病院・内視鏡科), 鈴木 晴久(国立がん研究センター中央病院・内視鏡科)
抄録 【目的】早期胃癌に対するESDは,デバイスや切除技術が進歩したものの,時に長時間の処置を要する.本検討では胃ESD切除困難例の特徴を明らかにし,その対策を報告する.
【方法】2003年1月から2012年2月までの間,絶対適応あるいは適応拡大病変と術前診断し,単一病変に対するESDを施行した早期胃癌2688病変を対象とした(残胃,胃管,遺残再発病変は除外).切除困難病変は施行時間2時間を超えた病変と定義した.切除困難病変と非困難病変の術前診断(局在(U/M/L, 前壁/大弯/後壁/小弯),肉眼型(隆起型/陥凹型),腫瘍径(30mm以下/31mm以上),生検組織型(分化型/未分化型),UL(-/+))を比較し,その予測因子を検討した.
【成績】切除困難病変/非困難病変は416/2272であった.切除困難病変は非困難病変と比較して,U領域(31.3%/15.7%, p<0.001),生検分化型(98.1%/96.0%, p=0.038),腫瘍径31mm以上(21.4%/4.6%, p<0.001),UL(+)(30.0%/16.3%, p<0.001)が有意に多かった.多変量解析の結果,腫瘍径31mm以上(Odds比(95%CI):7.56(7.40-7.73)),UL(+)(Odds比(95%CI):2.93(2.80-3.06)),U領域(Odds比(95%CI):2.58(2.46-2.71))が切除困難病変の独立した予測因子であった.さらにU領域のうち,大弯病変は大弯以外の病変と比較して平均施行時間が長い傾向にあった(121.9分/100.6分,p=0.065).大型病変,U領域大弯病変は必要に応じて糸付きクリップや把持鉗子による牽引を行い,良好なカウンタートラクションを得ている.UL(+)病変は線維化のない領域を先に剥離して筋層の走行を確認した後に,瘢痕部を筋層ラインと平行に剥離している.
【結論】腫瘍径30mmを超える病変,UL(+)病変,U領域大弯病変は熟練医によるESDが望ましい.
索引用語 早期胃癌, ESD