セッション情報 ワークショップ18(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

治療困難病変に対する胃ESDの実際,工夫 ≪ビデオ≫

タイトル 内W18-2追:

胃ESD治療困難因子の解析と工夫について

演者 上田 裕之(広島市立安佐市民病院・消化器内科)
共同演者 永田 信二(広島市立安佐市民病院・内視鏡内科), 木村 茂(広島市立安佐市民病院・消化器内科)
抄録 【目的】胃ESD治療困難因子の解析と工夫から治療困難病変に対する治療成績を明らかにする.【対象と方法】検討1) 2003年9月から2012年12月までに当院にて, 胃ESDを完遂した早期胃癌921病変のうち, 治療困難と思われる因子を線維化(UL), 部位困難(幽門輪周囲, 体部大弯, U領域), 腫瘍径(11mm以上, 21mm以上, 31mm以上, 41mm以上), 深達度( M-SM1, SM2以深), 形態(陥凹有無別)とし, 胃ESD治療困難因子を解析した.検討2)胃ESD治療困難因子病変に対する工夫前後での治療成績について検討した.工夫として, 糸付きクリップ, 大腸用scope, マルチベンディングスコープ, エアアシスト, 体位変換等を使用している.【結果】検討1)単変量解析では, 内視鏡的一括切除率で有意差を認めた因子は, UL(+)病変(odds比4.44, p=0.0062)で, 病理学的一括切除率で有意差を認めた因子は, UL(+)病変(odds比4.40, p<0.0001), U領域(odds比2.69, p=0.0005), 腫瘍径11mm以上(odds比2.39, p=0.0026), 21mm以上(odds比3.18, p<0.0001), 31mm以上(odds比3.33, p<0.0001), 41mm以上(odds比2.78, p=0.0044), 深達度SM2以深 (odds比8.58, p<0.0001)であった.病理学的一括切除率に寄与する因子について, 多変量解析を行ったところ, UL(+)病変(odds比3.35, p<0.0001), 深達度SM2以深(odds比21.55, p<0.0001) が抽出された.検討2)胃ESD治療困難病変UL(+) または深達度SM2以深 186病変のうち, 工夫なし群137病変と工夫あり群49病変とで比較すると, 内視鏡的一括切除率は工夫なし群96.4%(132/137), 工夫あり群98.0%(48/49), 病理学的一括切除率は工夫なし群72.3%(99/137), 工夫あり群81.6%(40/49)と工夫することで一括切除率は向上した.【結語】胃ESD治療困難因子として, 線維化, 深達度SM2以深が考えられた.これらの因子を認める胃ESD治療困難病変では, 様々な工夫をすることで, 病理学的一括切除率は向上した.発表では, 当科における工夫を動画で供覧する.
索引用語 ESD, 治療困難因子