セッション情報 ワークショップ18(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

治療困難病変に対する胃ESDの実際,工夫 ≪ビデオ≫

タイトル 内W18-5:

潰瘍(UL)症例に対する当院での胃ESDの治療成績と戦略

演者 石田 司(神戸大大学院・消化器内科学)
共同演者 森田 圭紀(神戸大大学院・消化器内科学), 豊永 高史(神戸大附属病院・光学医療診療部)
抄録 【目的】潰瘍(UL)症例に対するESDは,切除困難例も経験する.特に高度線維化や近接困難を伴っている場合は,さらに難渋する.そこで,我々の経験したUL症例のうち有用であったと考えられる工夫についてビデオで紹介する.【方法・成績】対象は,2010年7月から2013年1月まで当院で施行した511病変を検討した.使用デバイスは,UL(+)症例ではFlush Knifeを使用し,IT Knife 2単独使用は,15例のみであった.また,Flush Knife使用例で,通常胃,3cm以内,単発例に絞った128症例で,UL(-)95例,UL(+)33例の切除時間(スコープ挿入から抜去までの時間)について検討をおこなった.UL(-)例の平均腫瘍径15.5mm(2-30mm),平均切除時間82.7分(20-198分),UL(+)例で平均腫瘍径15.8mm(5-30mm),平均切除時間102分(29-180分)と,UL(+)症例で有意に切除時間の延長が認められた(P=0.04).しかしながら,治療成績は,いずれも一括切除率100%,R0切除率は,UL(+)症例で,97.0%,UL(-)症例で,98.9%.穿孔がUL(-)例に2例,緊急内視鏡が必要な後出血は,UL(-)症例で1例,病変への切り込みがUL(+)例で1例認めたのみであった.また特にESD後遺残再発は5例認め,高度線維化を伴った症例では,Flush Knife 1.0mmの併用やエアアシストの使用,multibending scopeの使用などで安全に一括切除が可能な症例を経験した.【結論】高度線維化症例においても,先端系デバイスであるFlush Knifeを用いることによって,切除時間の延長は認めるものの病変部を安全に一括切除することが可能であった.近接困難例に対しても,スコープ,付加デバイスによる工夫により,切除可能であると考えられた.
索引用語 潰瘍, 胃ESD