セッション情報 |
ワークショップ18(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)
治療困難病変に対する胃ESDの実際,工夫 ≪ビデオ≫
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タイトル |
消W18-7追:幽門輪上の胃腫瘍に対するESDにおける対策
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演者 |
岡本 健志(山口大大学院・消化器病態内科学) |
共同演者 |
西川 潤(山口大大学院・消化器病態内科学), 坂井田 功(山口大大学院・消化器病態内科学) |
抄録 |
【目的】内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の開発により,幽門輪上の胃腫瘍も内視鏡的に一括切除が可能となった.しかし幽門輪は,構造が複雑であることや管腔が狭く治療後狭窄の危険性もあること等からESDを行う上で注意を要する.今回我々は,幽門輪上の胃腫瘍に対するESDにおける対策を明らかにするため,二施設での治療成績を後ろ向きに検討した.【方法】2005年4月より2013年3月までの間に当院,および関連病院にてESDを施行した幽門輪上の早期胃癌21症例21病変,胃腺腫2症例2病変を検討の対象とした.ESDは主にITナイフあるいはフラッシュナイフを用いた.【成績】すべての病変で一括切除を施行することができた.組織学的検索の結果,一括完全切除率は95.7%(22/23),治癒切除率(治癒切除および適応拡大治癒切除)は87.0%(20/23)で良好な成績であった.後出血を一例に認めたが穿孔は認めなかった.幽門輪の約8分の7周切除となった3例で術後幽門狭窄を認め,バルーン拡張を要したが,4分の3周切除までの症例では幽門狭窄は認めなかった.先端硬性部が短いスコープを用いることで十二指腸球部内反転が可能となり,肛門側境界の観察,十分なマージンを確保しての切除が容易となり有用であった.しかし,十二指腸潰瘍瘢痕等のため3例で球部内反転ができなかった.球部内反転不能例では単位時間あたりの切除面積が有意に小さく,切除効率が悪いことが明らかになった(球部内反転可能群13.3±12.4 mm2/分,不能群5.9±1.4mm2/分).【結論】幽門輪上のESDの際には,球部内反転を行うことで切除が容易になる.幽門狭窄を避けるためにはなるべく広く幽門輪上の粘膜を残すことが重要である. |
索引用語 |
幽門, ESD |