セッション情報 ワークショップ18(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

治療困難病変に対する胃ESDの実際,工夫 ≪ビデオ≫

タイトル 内W18-8:

体部大彎にかかる病変に対する胃ESDの工夫

演者 辻 重継(石川県立中央病院・消化器内科)
共同演者 吉田 尚弘(石川県立中央病院・消化器内科), 土山 寿志(石川県立中央病院・消化器内科)
抄録 【目的】体上部から中部の大彎にかかる病変は血管が豊富で出血を来たしやすく,また大彎側に血液が貯留し視野不良となりやすいためESD困難部位の一つとされている.以前我々は,体部後壁病変に対して,小彎側を残しながら口側から大彎側を浅めに切開し,トリミングは浅めに留め,見上げ視野にて肛門側の粘膜下層にポケットを作成した後に,ITナイフ2を用いて口側・大彎側に剥離を展開していく方法を報告した.この方法は後壁のみならず他の部位でも応用が可能であり,体上部から中部の大彎にかかる病変に対する同工夫の有用性を検討する.【方法】2007年から2012年までに胃ESD経験100例以上の術者4名が施行した,体上中部大彎にかかる早期胃癌43症例を対象とした.ただし,潰瘍瘢痕例,残胃癌,内視鏡治療後の遺残再発病変は除外した.工夫前である2007年から2008年までの12症例(A群)と,工夫後である2009年から2012年までの31症例(B群)の背景因子および治療成績を比較検討した.B群に関して,前壁群と後壁群に分けても比較検討した.【成績】A群/B群でそれぞれ平均年齢=65.9歳/71.2歳,男:女=10:2/28:3であり,U:M領域=6:6 /19:12,前:後壁=5:7/8:23,切除長径=47.6mm/40.9mm,腫瘍径=25mm/19.6mm,一括切除率=100%/100%,一括完全切除率=83.3%(10/12,垂直断端陽性2例)/90.3%(28/31,垂直断端陽性3例)でいずれも有意差は認めなかったが,切除時間=90.8分/68.7分(p=0.03)においてのみ有意差を認めた. B群において前壁群/後壁群で,U:M領域=4:4 /15:8,切除長径=45.5mm/39.3mm,一括切除率=100%/100%,一括完全切除率=87.5%/91.3%,切除時間=73.4分/67分でいずれも有意差はなかった.【結論】本工夫は,体部後壁のみならず,大彎にかかる前壁病変において応用可能であり,切除時間を短縮できた.本工夫では,粘膜下層の血管が見極めやすく,出血を来たしたとしても視野の確保が容易であり止血操作に難渋しないためと推察される.本VTRシンポでは手技の実際をビデオにて供覧する.
索引用語 胃ESD, 体部大彎