セッション情報 |
ワークショップ18(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)
治療困難病変に対する胃ESDの実際,工夫 ≪ビデオ≫
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タイトル |
内W18-10追:改良型内視鏡装着バルーンを用いた体部小彎近接困難病変に対する胃ESD治療
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演者 |
川村 昌司(仙台市立病院・消化器内科) |
共同演者 |
関根 仁(仙台市立病院・消化器内科), 菊地 達也(仙台市立病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】近年様々な器具の開発により早期胃癌に対するESDは標準治療として広く普及してきている.しかし体部小彎~前壁・胃角の病変は治療時にしばしば近接困難な状況となる.遠景処置は予期せぬ偶発症の原因となるため,我々は通常内視鏡着脱可能な偏心型バルーンを開発してきた.今回更なる改良を加えた偏心型内視鏡装着バルーンを用いた治療を経験したので報告する.【症例】74歳女性.近医にて胃体中部小彎の発赤から生検にてgroup5(tub1)がみられたため精査加療目的に紹介となった.当院での内視鏡検査では,同発赤周囲の萎縮粘膜にも血管透見が不良な粘膜が広がっていたが通常内視鏡・インジゴ散布では境界不明瞭であった.NBI併用拡大内視鏡を用いて,わずかに不整な顆粒状粘膜をとらえることにより範囲診断を施行したところ,約6cm台のIIb病変が広がっていた.観察時よりESD治療時に近接困難となることが予想されたため改良型偏心バルーン(トップ社性エアアシスト・スリムタイプ)を用い平成24年7月ESD治療を施行した.改良型バルーンは以前より肉薄となっており内視鏡への装着時の抵抗が少なかった.また以前はバルーン装着後オーバーチューブを通過する際に強い抵抗がみられていたが,改良型ではスムーズな挿入が可能であった(トップ社性16mmダブルタイプのオーバーチューブを使用).バルーン拡張径などは以前と同様であり,近接困難な状況でバルーンを拡張することにより安定した視野が確保され血管を視認しながら安全な粘膜下層剥離を施行した.病変は合併症なく一括切除され58x32mm,0-IIb+IIc,tub1+2,深達度m,HM0,VM0,完全切除された.【結語】胃ESD治療時の胃体中下部近接困難例において胃内脱気や切開手順によっても近接困難なとき,偏心型内視鏡装着バルーンの使用により安全性の高い処置が行う事が可能となった.また改良を加え肉薄となったことにより装着時の抵抗・オーバーチューブを用いた挿入時の抵抗に大幅な改善がみられた. |
索引用語 |
ESD, 胃癌 |