セッション情報 ワークショップ18(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

治療困難病変に対する胃ESDの実際,工夫 ≪ビデオ≫

タイトル 内W18-15追:

簡易型Magnetic-anchor-guided-ESDの試み

演者 松崎 一平(名古屋大大学院・消化器内科学)
共同演者 宮原 良二(名古屋大大学院・消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大大学院・消化器内科学DELIMITER名古屋大附属病院・光学医療診療部)
抄録 【背景】早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は出血や穿孔などの偶発症,線維化症例や大きな病変では治療時間の長さが問題となる.国立がんセンターから報告された強力な電磁場を用いたMagnetic-anchor-guided(MAG)-ESDは適切なカウンタートラクションにより良好な視野をもたらす手技であったが,日常臨床に応用されるには小型化と簡便さが必要とされた.目的】我々が考案した小型の希土類磁石を用いた簡易型MAG-ESDの実現可能性を検討した.【方法】体重18-20kgのビーグル犬に対して静脈麻酔下にMagnetic-anchor-guided(MAG)-ESDを施行した.通常通りオーバーチューブを挿入し,胃において仮想病変を設定し粘囲切開を行った後,内視鏡用クリップに小型の希土類磁石を絹糸で固定し切開した病変の内側に取り付けた.体外の希土類磁石を助手が動かすことで体内の磁石付きクリップを動かし病変を牽引した.胃の様々な部位でクリップの可動性を検討した.【成績】体内磁石は5mmのもので視野の妨げもなく安定した手技が行えた.前庭部後壁,体下部前壁,体下部小弯や一般的に処置が困難と考えられる穹窿部,体上部大彎でも体外からの遠隔操作による牽引が可能であった.体下部前壁では実際にESDを施行した.良好な視野が得られるため筋層と血管を確認しながら粘膜下層剥離が行われた.切除標本は25×25mmで切除時間は64min,体内の固定した小型磁石は切除標本とともに回収された.【結論】動物実験を開始した段階であり,今後ヒトでの臨床応用を目指すことを検討している.簡易型MAG-ESDはESD手技を容易にし困難例を克服する可能性がある.
索引用語 MAG-ESD, ESD