セッション情報 ワークショップ19(消化器内視鏡学会・消化器がん検診学会合同)

大腸内視鏡-苦痛のない挿入法,見落としのない観察法 ≪ビデオ≫

タイトル 内W19-3:

大腸内視鏡挿入におけるシンプル法,キャップ法,浸水法の有用性に関する無作為比較試験

演者 淺井 哲(多根総合病院・消化器内科)
共同演者 小川 淳宏(多根総合病院・外科)
抄録 【目的】大腸鏡挿入には,S状結腸でループを作らずにSDJを通過する方法(短縮法)と,S状結腸でループを形成しそれをSDJ以深で直線化する方法(ループ法)がある.疼痛の点からは短縮法が望ましいが,感覚的で高度な手技であり修得が難しい.今回われわれは,アタッチメントや水を用いない従来通りのシンプル法(S群)と,キャップ法(C群),浸水法(W群)の3群で無作為比較試験(RCT)を施行したのでその成績を報告する.【方法】臨床試験審査委員会で承認を得,患者より同意書を取得しRCTを施行.2012年5月~2013年4月までに当院で全大腸内視鏡検査(CS)を受ける全患者を対象とし,除外基準を設け大腸切除既往,高度前処置不良例などは除外した.目標症例数は1005例(各群335例)と設定し内視鏡医10人で施行した.内視鏡は全例CF-Q260DIを使用,内視鏡挿入形状観測装置(UPD)を併用した.塩酸ペチジン35mg+ミダゾラム2~3mgを検査前に投与し,挿入中に疼痛があった場合にはミダゾラムを1mgずつ追加投与した.3群とも短縮法を第一選択としてCSを施行し,困難な場合はループ法での挿入を行った.主要評価項目は1)短縮法成功率,2)鎮静剤追加使用量とし,副次評価項目は3)盲腸到達率,4)盲腸到達時間とした.【成績】S群(252例) vs. C群(242例) vs. W群(240例)で平均年齢,男女比,検査目的,手術歴に有意差は認めなかった.1)短縮法成功率は37.7% vs. 40.5% vs. 52.1%(S群 vs. W群,C群 vs. W群においてp<0.05)と有意にW群で短縮法成功率が高かった.2)鎮静剤追加使用量,3)盲腸到達率,4)盲腸到達時間は有意差を認めなかった.現在までCSに伴う偶発症の発生は認めていない.【結論】浸水法は短縮法成功率を高める有用な方法であった.尚,2013年2月現在RCTは進行中である.抄録は中間成績であるが発表当日には,浸水法の内視鏡およびUPD動画を提示しつつ,RCT終了後の全結果を観察時間やadenoma発見率,アンケート等も含め詳細に解析し提示する.
索引用語 浸水法, 大腸内視鏡