セッション情報 ワークショップ19(消化器内視鏡学会・消化器がん検診学会合同)

大腸内視鏡-苦痛のない挿入法,見落としのない観察法 ≪ビデオ≫

タイトル 内W19-4:

全結腸色素内視鏡法の腺腫発見率と実際の手技

演者 豊島 治(とよしまクリニック)
共同演者 吉田 俊太郎(東京大・消化器内科)
抄録 【目的】大腸内視鏡検査の質を評価する指標として,interval colorectal cancerと相関するとされる腺腫発見率(adenoma detection rates:ADR)がある(NEJM2010).腺腫の切除を行うことは大腸癌の罹患率を低下させ(NEJM1993),大腸癌による死亡率を低下させる(NEJM2012)とされており,日常の大腸内視鏡検査におけるADRの向上は我々内視鏡医にとって非常に重要となる. Indigo carmineを用いた全結腸色素内視鏡(pancolonic chromoendoscopy:PCC)はADRを向上させるという報告(Gut2011)に基づき,当院ではPCCを採用している.今回PCCにおける年齢性別ADRとその実際の手技につき報告する.【方法】当院でのindigo carmineを用いたPCCにおける年齢性別ADRを解析した.対象は2012年の1430件で,腺腫の診断は切除又は生検組織の病理学的診断にて行った.光源はオリンパス製CLV-260NBIでスコープはCF TYPE H260AIを使用し,色素は3ml の0.1%indigo carmineを空気と共にシリンジから直接散布し,吸引によりindigo carmineを腸管壁に付着させる.この手技を引き抜きの際,全結腸において10回程行う.動画にてPCCの実際の手技を供覧する.【成績】20~79歳,男746,女684人平均年齢52.0歳.sedation 91%(ミダゾラムや塩酸ペチジンを使用), 検査時間;挿入5.8分引き抜き16.1分.ADR(%):全年齢50.2,20歳代15.2(46人男5.3女22.2),30歳代27.5(167人男32.9女22.4),40歳代42.1(404人男47.2女35.4),50歳代56.9(348人男60.5女52.3), 60歳代64.8(290人男66.9女62.8), 70歳代69.9(166人男72.9女67.7).【結論】PCCは比較的簡便に施行でき,高いADRであった.大腸癌の見落としを減らしている可能性があり,大腸内視鏡の標準検査方法の一つとしてなりうる手技である.
索引用語 大腸内視鏡, 色素内視鏡