セッション情報 ワークショップ19(消化器内視鏡学会・消化器がん検診学会合同)

大腸内視鏡-苦痛のない挿入法,見落としのない観察法 ≪ビデオ≫

タイトル 内W19-6:

大腸内視鏡における内視鏡挿入形状観測装置「UPD-3」の有用性

演者 福澤 誠克(東京医大・消化器内科)
共同演者 河合 隆(東京医大・内視鏡センター), 森安 史典(東京医大・消化器内科)
抄録 【背景】大腸内視鏡における挿入形状は安全性と快適性の上での重要な課題である.【目的】大腸内視鏡挿入における内視鏡挿入形状観測装置「UPD-3」が大腸内視鏡挿入に及ぼす臨床的インパクトについて検討する.【対象と方法】2012年2月から2012年6月までに当院で施行された大腸内視鏡240例(通常検査群122例,UPD使用群118例)を対象とし,術者別(Expert,Trainee)の深部挿入率,挿入時間,挿入法(軸保持短縮法,right turn shortning法(ループ形成後解除)),患者苦痛度(アンケート調査)について検討した.Expertは大腸内視鏡経験数500例以上,Traineeは100例未満とした.患者苦痛度についてはVisual Analog Scale ( VAS ) により挿入時の痛みについて5段階で評価した.内視鏡は通常検査群:CF-Q260AIおよびCF-H260AI, UPD-3群:CF-Q260DIを用いて評価した.腸管切除例を除外とし,全例CO2送気を使用した.【成績】通常検査群122例中;Expert(E)群:77例 ,Trainee(T群):45例,UPD-3使用群118例中;Expert(UE)群:77例,Trainee(UT)群:41例だった.UT群の1例のみ深部挿入が出来なかった.挿入時間はE/T/UE/UTでそれぞれ8.1/20.7/9.1/19.5(分)であり,両群でE/T間に差を認めた(p<0.05).しかしExpert,Traineeそれぞれにおいては,UPD-3使用での挿入時間の短縮は認めなかった.挿入法では軸保持短縮法はE/T/UE/UT群で,67.5/33.3/71.4/53.7(%)であり両群でE/T間にそれぞれ差は認めた,さらにTraineeにおいてはUPD-3使用で有意に増加した(p<0.05).内視鏡挿入時の苦痛度の評価はそれぞれ1.4/2.6/1.3/1.9でありTraineeではUPD-3使用が苦痛度の軽減につながった(p<0.05).【結論】「UPD-3」の使用でExpert,Traineeとも検査時間の短縮はできなかったが,Traineeにおいては軸保持短縮法で挿入する率が向上し,挿入時の患者苦痛度の軽減につながると考えた.
索引用語 大腸内視鏡, UPD-3