セッション情報 ワークショップ19(消化器内視鏡学会・消化器がん検診学会合同)

大腸内視鏡-苦痛のない挿入法,見落としのない観察法 ≪ビデオ≫

タイトル 内W19-8:

細径軟性大腸内視鏡PCF-PQ260による苦痛の少ない易しい挿入法

演者 川内 宏仁(市立旭川病院・消化器病センター)
共同演者 垂石 正樹(市立旭川病院・消化器病センター), 斉藤 裕輔(市立旭川病院・消化器病センター)
抄録 【背景】大腸内視鏡の挿入では苦痛発生の予防に軸保持短縮法が重要であるが,腸管の癒着,過長例ではプッシュ操作を主体とした挿入法を余儀なくされる.しかしプッシュ挿入はステッキ現象が生じやすく,腸管の過伸展により苦痛が生じる.この問題を解決するには細径軟性scopeが適しているが,再loopを形成しやすく深部挿入が困難となる.【対象と方法】2005年5月から2012年12月までに,オリンパスメディカル社製PCF-PQ260を用いて3232例(男性:795例,女性:2437例,平均年齢:63.1±15.3歳)に全大腸内視鏡検査目的で原則sedationなしで検査を施行した.PCF-PQ260はステッキ現象を防止する受動湾曲と,深部挿入性を向上させる高伝達挿入部の新しい機能を搭載した細径軟性scopeである.【結果】1. 3231例中,前医で挿入不能,腹部手術による癒着,BMI17未満,SやTの過長などの挿入困難例は1732例(53.6%)であった.2.Total colonoscopyは3158例(97.7%)で可能であり,2535例(80.3%)で15分以内の盲腸到達が可能であった.3.sedationは90例(2.8%)で必要であった.4.VASを用いた疼痛の評価は平均1.9±2.3と苦痛はごく軽度であった.【PCF-PQ260の挿入法】直腸から通常の内視鏡挿入と同様にSへ挿入,S状結腸から脾彎曲へは管腔を捉えながらpush操作でSDJを通過,S状結腸のloopを解除した後に下行結腸から脾弯曲へと進む.脾彎曲からもプッシュ挿入主体で高伝達挿入部により容易に肝弯曲まで進む.S状結腸で再loopを形成する場合は用手圧迫法を併用する.Push操作で肝弯曲に達した場合は右回旋操作に脱気,用手圧迫,体位変換を加えて挿入部にたわみを生じさせないように盲腸まで挿入する(ビデオで供覧).【結論】細径軟性scope PCF-PQは挿入困難例においてもsedationなしでpush操作主体で苦痛が少なく容易にTCFが可能な極めて有用なscopeである.
索引用語 細径軟性大腸内視鏡, 挿入法