セッション情報 ワークショップ19(消化器内視鏡学会・消化器がん検診学会合同)

大腸内視鏡-苦痛のない挿入法,見落としのない観察法 ≪ビデオ≫

タイトル 内W19-9:

大腸ビデオスコープの特性による挿入パターンの相違について

演者 鈴木 翔(がん研有明病院・内視鏡診療部)
共同演者 千野 晶子(がん研有明病院・内視鏡診療部), 五十嵐 正広(がん研有明病院・内視鏡診療部)
抄録 【はじめに】大腸癌の早期発見・治療のために,苦痛の少ない挿入による遂年受検者の確保と見落しの少ない観察が重要である.近年,多種多様な大腸ビデオスコープが開発されており,安定した大腸内視鏡挿入ためにはスコープの特性を把握することが必要である.【目的】CF-H260AZI(以下CF-Z)と,PCF-PQ260L(以下PQ) 大腸ビデオスコープの特性の相違点とスコープ別の挿入パターンについて検討した.【方法】スコープ選択と対象例の選別は,慣れによる偏りを軽減するため,1名の検査医が1ヶ月毎に同じ機種を使用した.挿入困難例を含むスクリーニング目的の各40例をランダムに選択した.完遂率は,挿入困難例であった場合は開始時の機種に拘らずに,途中で適した機種に変更して集計した.さらに,疼痛,体位変換や用手圧迫の有無を記録した.挿入パターンは,検査直後に印象を記録シートに記録すると同時に,挿入時に録画した挿入形状観測装置(UPD)での挿入パターンをのちに集計して比較した.【結果】完遂率はCF-Z;93%,PQ;100%で,症例の難易度にかかわらず完遂できたのはPQスコープであった.機種変更を要した例は,S状結腸の癒着による短縮が困難な例,ループ解除に伴う疼痛が生じる例,遠位大腸での狭窄例であった.疼痛の有無はPQで少なく,体位変換および用手圧迫はPQにおいて7割前後で利用していた.SD-junction~下行結腸までループ形成で挿入し,ループ解除で短縮操作をしたのはCF-Z;49%,PQ;27%であり,ストレート形状を保持したままSDまで到達していたのはPQに多かった.Hepatic flexをpushで挿入していたのはCF-Z;25%,PQ;52%であった.いずれのスコープでも手元の腸管がよりストレートであり,追従性を意識することで深部挿入時にpushでの挿入が可能となっており,PQでは用手圧迫等の補助的な工夫が必要とされていた.【結論】苦痛なき挿入はスコープの特性を理解し,特性を生かした方法で挿入することが必要であり,各種スコープの特性を熟考することは挿入困難例への対応時に役立つと考える.
索引用語 大腸内視鏡挿入法, 特性