セッション情報 ワークショップ19(消化器内視鏡学会・消化器がん検診学会合同)

大腸内視鏡-苦痛のない挿入法,見落としのない観察法 ≪ビデオ≫

タイトル 内W19-10:

大腸内視鏡検査における症例に応じたscopeの使い分け-苦痛0,盲腸到達率100%をめざして

演者 石井 英治(亀田総合病院・消化器内科)
共同演者 光島 徹(亀田メディカルセンター幕張・消化器科), 平田 信人(亀田総合病院・消化器内科)
抄録 当院では従来から苦痛のない検査を目指し大腸内視鏡検査においては細径内視鏡(オリンパスPCFシリーズ)を用いてきた.多くの症例でtotal colonoscopyが可能であるが少ないながら苦痛等で中止せざるを得ない症例もある.2005年1月-2011年8月に有症状患者に対して施行した32865件の検査で盲腸到達率は97.9%であった.盲腸到達できなかった686例のうち非技術的要因を除外すると全体の1.4%(446症例)が疼痛や癒着,短縮不能,過長症などで挿入不能となっている.そういった症例に対応するために当院では2012年より受動弯曲搭載超細径内視鏡(オリンパスPCF-PQ260L)を用いている.PCF-PQ260Lは超細径で硬度が低くかつ受動弯曲があるためpush操作でも疼痛が少ない,追従性がよいためpush時の操作性も良い等の特徴がある.また有効長が長いために大腸過長症にも対応している.当院でPCF-PQ260Lを用いる基本的なクライテリアは以下のとおりである.1)過去に盲腸到達不能であった症例.2)当院で過去に20分以上挿入にかかった症例.3)当院で過去にかなり強い苦痛があった症例.4)PCFで検査を開始した症例でも途中で挿入困難と判断した場合scope変更を考慮する.2012年12月から2013年2月の期間に有症状患者に対して行った1260件の大腸内視鏡検査中59件(4%)にPCF-PQ260Lを使用開始し盲腸到達率は100%,挿入時間の平均は8.7分であった.全体の盲腸到達率は99.9%(1259/1260)まで改善されている.PCF-PQ260Lは挿入困難例に対するレスキューとして良好な成績を示すが,現状では拡大機能がないため有症状患者の大腸内視鏡検査における第一選択のscopeとすることはできない.挿入性,苦痛の軽減という観点と拡大機能含めた観察,診断のバランスをとるためには,症例の見極めが大事である.今回我々が目指す「苦痛度0,挿入率100%の大腸内視鏡検査」のために行っている工夫,scope選択の考え方,挿入法の基本について供覧する.
索引用語 大腸内視鏡, 細径内視鏡