セッション情報 ワークショップ19(消化器内視鏡学会・消化器がん検診学会合同)

大腸内視鏡-苦痛のない挿入法,見落としのない観察法 ≪ビデオ≫

タイトル 内W19-14:

軸保持短縮法 -3Sテクニック- と微小病変の見つけ方

演者 工藤 豊樹(昭和大横浜市北部病院・消化器センター)
共同演者 工藤 進英(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 宮地 英行(昭和大横浜市北部病院・消化器センター)
抄録 近年,大腸内視鏡検査数が増加し,IIc病変を主とする陥凹型病変の報告も増えている.大腸内視鏡検査は早期発見,早期治療を行うための重要な役割を担っており,大腸内視鏡検査を敬遠させない挿入手技と微小病変を見落とさない観察技術が必要である. 苦痛の少ない内視鏡挿入として軸保持短縮法は基本であり,その中でも『3S insertion technique』,『場を作る』,『補助手段』3つの要素が大切である.自由腸管であるS状結腸や横行結腸で腸管を進展させないように短縮し,腸管軸とスコープ軸が一致するように意識しながら挿入する「Straight insertion」,内角の襞を右手のスコープ操作により腸管を伸ばさずに襞をクリアする「laterally Slide」,トルクとpull back・吸引を組み合わせ,肛門から挿入先進部までのスコープ軸を理想な腸管軸に直線的に一致させ,次のStragiht insertionにつなげる操作である「Shortening」.これら3つのSが3S insertion techniqueの概念であり,直腸から行うことでより苦痛の少ない内視鏡挿入法が可能となる. 次に『場を作る』とはAir controlや画面が「赤玉」とならない至適距離を保つことであり,『3S insertion technique』を着実に行うための必須条件と言える.『補助手段』としては用手圧迫や先端フード装着,体位変換,硬度可変などがあり,それらを駆使することで,『3S insertion technique』を用いて襞をクリアできる場合が少なくない. また,個々の症例にあったスコープを選択することも重要である.癒着の強い症例や小柄な高齢者の挿入困難例,大腸癌よる狭窄症例などでは細くて軟らかい極細径内視鏡PQ(PCF-PQ260L/I, Olympus, Japan)を用いることも有用である. 観察については,漫然とスコープを抜去して観察するのではなく,小病変や陥凹型病変のような微妙な色調変化で発見される病変も多数存在することを常に念頭に置き,大きな屈曲部や襞裏など死角となりやすい部位も意識的に観察することが必要となってくる.動画供覧にて説明予定である.
索引用語 大腸内視鏡, 挿入法