セッション情報 ワークショップ19(消化器内視鏡学会・消化器がん検診学会合同)

大腸内視鏡-苦痛のない挿入法,見落としのない観察法 ≪ビデオ≫

タイトル 内W19-15:

苦痛の少ない大腸内視鏡挿入法

演者 井上 雄志(東京女子医大・消化器病センター)
共同演者 中川 了輔(東京女子医大・消化器病センター), 山本 雅一(東京女子医大・消化器病センター)
抄録 大腸内視鏡ほど熟練者と初級者で患者に与える苦痛が大きい検査も少なくない.今回無麻酔下で安全,短時間かつ苦痛の少ない大腸内視鏡挿入手技を供覧する.スコープをゆっくり挿入することが無麻酔下での最大のポイントであり,ゆっくり挿入しても通常2~4分で挿入できる.まず,左側臥位でスコープを挿入しlift turnで直腸S状部に挿入するが,この際にも過送気,過伸展に注意する.直腸S状部で管腔方向が上に見えている場合このまま挿入するとループを形成することになる.スコープを右にトルクをかけてスコープを引き戻す.すると管腔方向が管腔方向が下あるいは左に観察され,その後downアングルを用いてスコープを潜り込ませるように挿入する.この手技を行う際に左手でのスコープの振り,右手の上げ下げを付加するとより少ないアングルおよびトルク操作で追従性が高く,腸管に対する侵襲が少ない挿入が可能となる. 仰臥位へ体位変換を行うとより成功率も向上する.この手技に成功すると大半の症例で短縮法での挿入が可能となり,ほぼ無痛でtotal colonoscopyが行い得る可能性が高い.S状結腸途中で管腔方向が右,右と観察されるようになるとSD junctionは近く,ここからはスコープの軸を固定し小刻みなjigglingを用いて腸管の過伸展に注意して慎重に挿入していきSD junctionを通過する.この手技が困難な場合はSD junction近傍までスコープを挿入し,right-turning shortening techniqueで下行結腸に挿入するか,これも困難な場合はスコープを左に旋回させてαループを形成して下行結腸に挿入し,ただちにループを解除するとよい.下行結腸に挿入できた後は横行結腸中部まではdown アングルを多用して左回旋で挿入する様にし,S状結腸の再loopに注意して横行結腸中部では屈曲部を12時方向としupアングルをかけ通過する.その後遠方に肝弯曲を観察でき脱気しながらスコープを短縮させると肝彎曲部が近づき(paradoxical advancement),右回転で上行結腸に挿入する.下行結腸から盲腸まではほぼone patternの挿入法で,かつ1分以内で挿入可能である.
索引用語 大腸内視鏡, 挿入法