セッション情報 ワークショップ20(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

早期直腸癌治療における新展開

タイトル 内W20-1:

早期直腸癌に対する内視鏡治療手技の検討

演者 金子 亨(北里大東病院・消化器内科)
共同演者 佐田 美和(北里大東病院・消化器内科), 小林 清典(北里大東病院・消化器内科)
抄録 【目的】早期大腸癌に対するpolypectomy,内視鏡的粘膜切除術(EMR)および内視鏡的分割粘膜切除術(EPMR),内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の適応と有用性を明らかにする.【対象】2004年1月~2012年12月までに当院で内視鏡治療を行った早期直腸癌184例186病変を対象とした.各治療法における臨床病理学的事項や偶発症の発生頻度,経過観察での再発病変の頻度などを調査し,各内視鏡的摘除手技の適応や有用性を評価した.【成績】1)184例186病変の内訳は男性135例,女性49例,平均年齢は64.8歳で,平均腫瘍径は17.6mmであった.肉眼型は隆起型131病変,LSTを含む表面型46病変,陥凹型9病変であった.治療法はpolypectomy46病変,EMR92病変,EPMR33病変,ESD14病変であった.癌深達度はpM162病変,pSM24病変(SM-slight14病変,SM-massive10病変)であり,pSM癌の6病変で追加手術を施行した.2)肉眼型別の平均腫瘍径と腫瘍径20mm以上の頻度は,隆起型14.9±6.9mm/20.6%,表面型26.6±18.6mm/58.7%,陥凹型11.1±5.1mm/11.1%であった.3)治療法別の平均腫瘍径と腫瘍径20mm以上の頻度はpolypectomy群12.3±5.5mm/8.5%,EMR群14.1±5.8mm/19.6%,EPMR群22.1±8.1mm/57.6%,ESD群48.4±17.6mm/100%であった.癌深達度はpolypectomy群ではpM46病変,pSM-slight1病変,pSM-massive0病変,EMR群は各々76/9/7病変,EPMR群は28/4/1病変,ESD群は12/1/1病変であった.4)偶発症として後出血はpolypectomy群 3例(1.4%),EMR群6例(6.5%),EPMR群1例(3.0%),ESD群3例(21.4%)に認めたが,穿孔はいずれの治療法でも認めなかった.平均観察期間は26.7ヶ月であり,局所再発はEMRで治療したpSM癌の1例にのみ認め,外科的切除にて転移再発なく生存している.また遠隔転移再発はいずれも認めてない.【結論】早期直腸癌に対するpolypectomy・EMR・EPMRは偶発症や局所再発もなく,良好な結果であった.しかし30mm以上の病変やSM癌が疑われる場合には,一括完全切除がより可能なESDを考慮する必要があると考えられる
索引用語 早期直腸癌, 内視鏡治療