セッション情報 |
ワークショップ21(消化器外科学会・消化器病学会合同)
消化器癌腹膜播種の病態解明と新治療戦略
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タイトル |
消W21-1:腹膜転移を伴う進行胃癌患者に対するDCS療法の有用性
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演者 |
佐藤 康史(札幌医大・4内科) |
共同演者 |
大沼 啓之(札幌医大・4内科), 加藤 淳二(札幌医大・4内科) |
抄録 |
【背景・目的】腹膜播種を有する切除不能進行胃癌の予後は不良であり,これらに対する標準治療は確立していない.当科ではS-1/CDDP/Docetaxelの3剤を併用した化学療法(DCS療法)を進行再発胃癌に対する一次治療として行い良好な成績(奏効率 87.1 %,MST 660日)を報告してきた.そこで,今回我々は腹膜播種症例に対するDCS療法の有効性についてretrospectiveに検討した.【対 象・方法】2002年12月から2013年2月までにDCS療法を施行した手術不能進行胃癌91症例.腹膜転移と腹水貯留度はJCOG0106試験に準じ定義した.化学療法はS-180 mg/m2(day1-14),CDDP60 mg/m2(day8)およびDocetaxel 50-60mg/m2 (day8)を3週毎に投与した.【結果】91例中29例に腹膜播種を認め,審査腹腔鏡による診断が2名,画像による診断が27名(small/moderate/massive: 9/10/8)であった.腹膜播種症例は非腹膜転移例に比しDCS投与コースおよび副作用共に非腹膜転移例と有意差はなく忍容性は良好であった.PFS(中央値7.4M vs 7.5M, p=0.423)および2次治療移行率も両群で差はみられなかった.奏効率(66.7% vs 86.2%, p=0.042)とOS(中央値16.5M vs 22.6M, p=0.021)については腹膜播種症例で有意に不良であったが腹膜播種症例でもPS良好な症例においては中央値7コース施行されており,奏効率90.0%,MST 26.5ヶ月と良好であった.29例中6例でconversionが得られ,adjuvant surgeryが施行された.うち2例は4年以上の生存が得られ,MST は38.1Mであった.8例が高度腹水貯留症例であったが,腹水貯留度とDCSの忍容性および予後に有意な相関はなく多変量解析ではPSのみが予後に有意に影響する因子であった.【結語】腹膜播種症例に対するDCS療法の忍容性は良好であった.高度腹水貯留例でもPSが良好な症例では非腹膜播種症例と同等の有効性が示された. また,conversionを達成できた症例の予後は良好で本療法により治癒切除を狙う治療戦略が期待できる. |
索引用語 |
腹膜播種, 胃癌 |