セッション情報 ワークショップ21(消化器外科学会・消化器病学会合同)

消化器癌腹膜播種の病態解明と新治療戦略

タイトル 消W21-4:

癌性腹水を伴う進行膵癌に対するS-1+パクリタキセル経静脈・腹腔内併用療法の有効性と安全性に関する探索的試験‐中間報告‐

演者 高原 楠昊(東京大・消化器内科)
共同演者 伊佐山 浩通(東京大・消化器内科), 小池 和彦(東京大・消化器内科)
抄録 【目的】癌性腹水を伴う進行膵癌に対する効果的な治療法を確立する目的で,S-1+パクリタキセル経静脈・腹腔内併用療法(UMIN000005306)を2011年3月より第2相試験として開始.目標症例数30例のうち15例を登録したため,中間報告する.【方法】対象は癌性腹水を伴うジェムザール不応進行膵癌10例.21日を1コースとし,S-1は標準量(80mg/m2)を14日間内服し,パクリタキセルを第1, 8日目に経静脈投与(50mg/m2)および腹腔内投与(20mg/m2)した.主要評価項目は全生存期間(OS)で,無増悪生存期間(TTP),RECISTによる抗腫瘍効果,癌性腹水に対する効果,安全性を副次項目として評価した.【結果】年齢中央値67歳.男/女=11/4.PS 0/1/2=0/12/3.頭部/体尾部=4/11.非切除/術後再発=15/0.2次治療/3次治療以降=6/9,膵癌診断から本治療導入までの期間(中央値)は,12.7ヵ月であった.治療コース数(中央値)は2コース(1-14コース).OS 4.5ヵ月, TTP 2.7ヵ月, PR 2例(13%),SD 5例(33%), DCR 46%, 腹水減少率20%, 腹水細胞診陰性化率53%と良好な治療成績を認めている.Grade 3以上の有害事象は白血球減少40%, 好中球減少27%, FN7%, 貧血7%, 血小板減少20%, 食思不振7%, 腹腔ドレーン/ポート感染20%であり,致死的な事象は認めなかった.【結論】本研究は膵癌に対する腹腔内化学療法という新たな世界を開拓するという点で非常にインパクトのある試みであると考えている.引き続き症例集積を行い,本治療の有効性と安全性について検討を続ける.
索引用語 膵癌, 腹腔内化学療法