セッション情報 |
ワークショップ21(消化器外科学会・消化器病学会合同)
消化器癌腹膜播種の病態解明と新治療戦略
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タイトル |
外W21-6:胃がん手術における術中散布癌細胞の腹膜転移形成の可能性
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演者 |
竹林 克士(滋賀医大・消化器・乳腺・一般外科) |
共同演者 |
村田 聡(滋賀医大・消化器・乳腺・一般外科), 谷 徹(滋賀医大・消化器・乳腺・一般外科) |
抄録 |
【目的】進行胃癌に対する胃切除術とD2リンパ節郭清は,本邦の標準術式であり,世界に誇る治療成績をあげてきた.しかし,進行胃癌では,たとえ治癒切除がなされても術後に腹膜播種再発をきたすことが多い.今回,我々は,手術により癌細胞が腹腔内へ散布されることが腹膜再発の一因として考えた.外科手術中に癌細胞が散布されるなら,手術操作による癌細胞散布の予防処置や散布された癌細胞を治療する処置を手術中に行う必要があり,現在の癌治療における手術療法を大きく転換しなければならない可能性を秘めている.【方法】(1) 平成21年12月から平成23年9月までに施行した根治手術を目的とした胃癌切除症例102例を対象とした. 胃切除・リンパ節郭清前後の洗浄腹水を採取し,細胞診,CEAおよびCK20をマーカーとしたRT-PCR,細胞培養にて癌細胞の存在を検討した.また,癌細胞の増殖能の評価として,Ki-67染色を行った.また,術中散布癌細胞をScid miceの腹腔内に投与し,その腫瘍形成性を評価した. 【成績】(1) 術前洗浄腹水において,102例のうち57例はRT-PCRで腫瘍細胞の存在を認めなかった.この57例のうち,35例の術後洗浄腹水にRT-PCRで腫瘍細胞の存在を認め,その割合はリンパ節転移を伴う進行症例に有意に高かった(p<.001).この35例の術後洗浄腹水のうち24例では細胞培養にて癌細胞の増殖を認め, 全例Ki-67染色も陽性であった.この24例のうち4例において細胞培養にて増殖させた術中散布癌細胞はマウスの腹腔内で腫瘤を形成し,病理組織学的に原発巣と同様の低分化型腺癌であることを確認した.【結論】胃癌根治手術において,特に進行例では遊離癌細胞が腹腔内に散布されており,腹膜播種を形成する能力をもつ癌細胞が含まれていることが証明された.進行癌症例においては術中に癌細胞が散布される割合が高く,腹膜再発を起こす可能性がある.今後の胃癌治癒成績向上には,術中の癌細胞散布の予防処置,また,散布癌細胞に対する術中治療が必要と考えられる. |
索引用語 |
胃癌, 腹膜転移 |