セッション情報 ワークショップ22(消化器外科学会)

膵炎合併・既往例に対する外科治療の現状と課題

タイトル 外W22-1:

ERCP後膵炎が膵頭十二指腸切除術に与える影響

演者 平下 禎二郎(国立別府医療センター・外科)
共同演者 松本 敏文(国立別府医療センター・外科), 折田 博之(国立別府医療センター・外科)
抄録 【目的】膵頭十二指腸切除術(PD)において術前の胆道精査や減黄のためにERCPを必要とすることが多い.またERCPにおいて,膵炎はもっとも頻度の高い合併症である.今回われわれはERCP後膵炎(PEP)とPDの周術期因子との関係について検討したので報告する.【対象と方法】2009年から2012年までに当科で施行した膵頭十二指腸切除術38例を対象とし,PEP(+)群とPEP(-)群の2群に分けてPDの周術期因子との関係を比較検討した.PEPの診断はcottonらの基準に順じ,ERCP後1日目の血清アミラーゼが正常値上限(125IU/L)の3倍以上,または急性膵炎の臨床症状がある場合とした.PDにおける周術期の検討項目は,患者背景(年齢,性別,BMI,診断),手術(術式,手術時間,出血量,輸血),術後経過(血液検査,膵液瘻,ドレーン抜去日,胃内容排泄遅延,在院日数)とした.単変量解析はlog-rank検定,多変量解析はCox比例ハザードモデルを用い,p<0.05を有意差ありとした.【結果】男性25例,女性13例,平均年齢は72±9歳.32例にERCPを施行し,23例にERBD tubeを挿入した.ERCP後1日目の血清アミラーゼは461±662IU/Lで,ERCPから手術までの期間は28±15日であった.ERCPを施行していない6例はPEP(-)群に含め,PEP(-)26例,PEP(+):12例であった.PEP(+)の12例は全例軽症であり,保存的治療にて軽快した.単変量解析では術式,手術時間,出血量,術後3日目のCRP,胃内容排泄遅延がPEPとの関連を認め,これらの因子を多変量解析すると手術時間(ハザード比1.017[95%信頼区間1.000-1.034],p=0.049),胃内容排泄遅延(ハザード比18.720[95%信頼区間1.139-307.6],p=0.040)がPEPとの関連を認めた.【結語】PEPは手術時間延長,胃内容排泄遅延と関係があると考えられた.
索引用語 膵頭十二指腸切除術, ERCP後膵炎