セッション情報 ワークショップ22(消化器外科学会)

膵炎合併・既往例に対する外科治療の現状と課題

タイトル 外W22-5:

術前膵周囲炎マーカーとしての尿中8-OHdG計測

演者 皆川 昌広(新潟大大学院・消化器・一般外科学)
共同演者 高野 可赴(新潟大大学院・消化器・一般外科学), 若井 俊文(新潟大大学院・消化器・一般外科学)
抄録 【はじめに】腫瘍による随伴性膵炎や術前内視鏡検査・ドレナージ後の術前膵炎は膵周囲の脂肪織炎や脈管周辺の炎症へと波及し,手術中の剥離操作や郭清をより困難にさせてしまうため,その術前評価は重要である.我々は新しい炎症マーカーとなるものを探索しているなか,DNA酸化損傷マーカーとして知られる8-hydroxy-2’-deoxyguanosine (8-OHdG)を術前に測定し,膵周囲の炎症との関連をみてみたので報告する.【方法】対象は膵切除を施行した14例のうち(膵以外の炎症性術前合併症症例を除く),術中所見にて周囲脈管炎症後変化または脂肪織炎があると判断された症例を炎症群とし,炎症がない群9例(非炎症群)とあった群5例(炎症群)にわけて比較検討した.8-OHdGは術前尿からELISAにて計測した.【結果】性別,年齢,腫瘍サイズ,CA19-9,術式(DP/PD/その他)には有意差がなかった.手術時間,出血量はいずれも炎症群が高値であったが有意差はなかった.また,術前ストレスとして,喫煙,常飲,胆管炎既往,胆管ドレナージ有無,ERCP施行有無に有意差はなかった.さらに炎症性マーカーでは直近のCRP,WBCでも有意差が認められなかった.術前検査で有意差がえられたものは,尿中8-OHdG(非炎症群vs炎症群=6.2±7.1vs21.5±28.2,P=0.040)であった.【考察】WBC, CRPは初期の炎症マーカーであり,膵周囲へと波及したやや慢性化した炎症を評価するには適していない.8-OHdGは酸化ストレスマーカーとして知られているが,急性期炎症マーカーよりも随伴性膵炎のようなやや慢性化した炎症の指標となりえると考えられた.術中所見から炎症の程度を数値化する方法は難しいが,炎症の程度を客観的に評価し,重症度と8-OHdGの数値との相関がみられるかどうかを今後確認していく必要があると思われた.また,8-OHdG高値となるストレス疾患は数多く報告されており膵周囲の炎症に特異的なものではなく,他の炎症との鑑別も必要であるという課題も残っており,今後さらなる検討が必要である.
索引用語 8-OHdG, 随伴性膵炎