セッション情報 |
ワークショップ23(消化器内視鏡学会)
胆膵内視鏡のトラブルシューティング ≪ビデオ≫
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タイトル |
内W23-3:EST後出血の止血困難例に対するFully covered self-expandable metallic stentを用いた止血術の可能性
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演者 |
遠藤 文司(国立京都医療センター・消化器科) |
共同演者 |
水本 吉則(国立京都医療センター・消化器科), 勝島 慎二(国立京都医療センター・消化器科) |
抄録 |
胆膵内視鏡処置において内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)は確立された処置として広く普及している.ESTは知見の集積や技術・デバイスの進歩によって,より安全に施行できるようになってきているが,出血を始め膵炎や穿孔などの合併症も起こりうる.EST後出血はオペレータ側のみならず患者側の要因も存在するため出血を完全に制御することは困難であり,時に出血例を経験する.出血例の大半は軽微なものである一方で,稀ではあるが重篤な転帰を辿りIVRや外科的治療といった高侵襲の処置を要することもある.このため,早期かつ確実に内視鏡的な止血を得ることが重要である.EST後出血に対しては,クリップ法やエピネフリン加高張食塩水局注法,ヒートピローブ法や高周波凝固法,バルーン圧迫法など種々の止血術が報告されており,これらの止血法を単独あるいは組み合わせて処置を行うことで止血が得られる事が多い.しかし,これらの方法を用いても止血困難な症例に遭遇することもある.近年,このような止血困難例に対してmetallic stentの留置による止血術を施行した報告が散見される.当院でもEST後出血の止血困難例に対してfully covered self-expandable metallic stent (FCSEMS)の留置を行い,良好な止血が得られた症例を2例経験した.これらの症例はいずれも総胆管結石症例であり截石は完遂していた.1例は肝硬変,もう1例は適正期間の休薬はしていたが抗血栓療法を施行されている慢性腎不全(未透析)症例であった.いずれの症例もFCSEMS留置後に再出血あるいは膵炎,胆嚢炎,逸脱といったステント関連合併症を起こさず,留置後平均19日後にステント抜去が問題なく可能であった.FCSEMSの一時留置は抜去可能である点が長所だが,胆管狭窄のない症例ではFCSEMSの逸脱が懸念される.ステント選択や留置のポイントについて症例の動画を提示すると共に若干の考察を含めて報告したい. |
索引用語 |
EST, 合併症 |