セッション情報 ワークショップ23(消化器内視鏡学会)

胆膵内視鏡のトラブルシューティング ≪ビデオ≫

タイトル 内W23-4:

ENBDチューブの鼻腔内誘導におけるトラブル予防:磁石カテーテルによる新誘導法の紹介

演者 渡邉 誠太郎(済生会横浜市南部病院・消化器内科)
共同演者 中島 淳(横浜市立大附属病院・消化器内科), 窪田 賢輔(横浜市立大附属病院・消化器内科)
抄録 【背景】ENBDチューブの鼻腔内への誘導は時に難渋しトラブルが多い.最近ではガイドワイヤーを使った誘導(GW法)も考案されたが一長一短であった.2012JDDWで我々は,磁石を用いて簡便にENBDチューブを鼻腔内に誘導する新たな方法(磁石法)を開発し,初めて報告した.磁石法は60例の前向き試験で,術者を研修医として速さ,患者の苦痛や被曝時間,合併症すべてにおいて他法より有意に優れていた.今回,追試を行ったので報告する.【目的】磁石法,用指法,GW法について簡便性と安全性を比較検討した.また,動画を用いて磁石法について実技を提示する.【方法】2012年10月から12月までに当院でENBDを施行した30例について,前向きランダム化比較試験を行った.磁石法はネオジム磁石を用い,子磁石(3x7mm,450mT)をネラトンチューブ内先端に入れて鼻孔から挿入する.親磁石(5x10mm,530mT)は吸引チューブ先端に固定し,口腔内から挿入し子磁石と吸着させる.誘導手技は今回は2年以上の消化器内科経験医師が施行した.ネラトンチューブの鼻孔挿入から口外への誘導までの時間,さらに嘔吐反射回数と透視被曝時間を計測した.【成績】磁石法10例,用指法10例,GW法10例で手技は全例で成功した.誘導時間は磁石法37.9秒,用指法22.3秒,GW法41.3秒(p=0.21)であった.嘔吐反射回数は磁石法1.3回,用指法1.7回,GW法4.8回(p<0.01)で,透視時間は磁石法24.9秒,用指法1.6秒,GWは22.9秒(p<0.01)であった.施行時の苦痛は磁石法で1例,用指法4例,GW法5例で自覚された.合併症は鼻出血が磁石法で1例,用指法で2例,GW法で1例認め,用指法ではbitingを1例認めた.【結論】磁石法は経験者が施行した場合,手技時間には有意差はなかったものの,患者の苦痛は有意に少なかった.透視下での視認性が良く,容易に低侵襲で施行可能であった.装置の作成も安価で簡便であり実用的である.初心者だけでなく経験者においても,今後のENBD誘導法の第1選択となりうる可能性が示唆された.
索引用語 ENBD, 磁石