セッション情報 |
ワークショップ23(消化器内視鏡学会)
胆膵内視鏡のトラブルシューティング ≪ビデオ≫
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タイトル |
内W23-7:ERCP時の十二指腸穿孔に対する留置スネアを用いた縫縮術
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演者 |
牧野 直彦(山形大・消化器内科) |
共同演者 |
戸澤 智浩(山形大・消化器内科), 上野 義之(山形大・消化器内科) |
抄録 |
胆膵内視鏡においては種々の偶発症が起こりえるが,スコープ操作による消化管穿孔に対しても十分な注意が必要である.我々はERCPのストレッチ操作時に十二指腸下降脚の穿孔を来たし,留置スネアを用いた穿孔縫縮術により対処し得た一例を経験した.今回はその手技の実際を供覧し問題点を検討する.【症例】60歳台女性.2006年,閉塞性黄疸のため入院.CTにて膵頭部腫瘤と総胆管拡張を認めERCPを施行した.下部胆管に13mmの不整狭窄を認め一期的なドレナージを試みたが,腫瘍浸潤に伴う十二指腸の変形によりスコープが容易に抜けてしまう状態であり,安定した内視鏡操作が困難であった.このためESTのみを施行し終了とした.翌週,胆道メタリックステント留置を目的に2回目のERCPを施行したが,挿入時のストレッチ操作で十二指腸穿孔を来した. スコープを即座に直視鏡へ変更し観察したところ,下十二指腸角付近の十二指腸下行脚に約10mm大の穿孔を認めた.はじめにクリップ単独の穿孔閉鎖を試みたが,穿孔部が接線方向となり適切なクリップ留置が困難であった.このため2チャンネル直視鏡に切り替え,留置スネアとクリップによる縫縮術を試みた.留置スネアをクリップにより穿孔部周囲6カ所に固定後,留置スネアを絞り穿孔部を縫縮した.造影剤を散布し造影剤の腸間外漏出が無いことを確認し終了とした.術後に炎症反応上昇を認めたが,WBC値は術後3日目に正常化した.また,術直後のCTでは後腹膜腔に多量のairを認めたが徐々に吸収され消失した.食事開始後も問題なく経過し退院した. 【結論】スコープのストレッチ操作時における穿孔はスコープ先端による穿孔のため,ステント等の処置具によるケースよりも穿孔部が拡大し易い.また,十二指腸下行脚の穿孔では直視鏡での操作が接線方向となりクリップ処置に難渋する.このため,2チャンネル直視鏡と留置スネア,クリップを用いた縫縮術を穿孔時の対処法の一つとして理解しておくことは重要と考える. |
索引用語 |
穿孔, 縫縮術 |