セッション情報 ワークショップ23(消化器内視鏡学会)

胆膵内視鏡のトラブルシューティング ≪ビデオ≫

タイトル 内W23-9:

ERCP困難な術後変更解剖症例の胆道病変に対するEUS下順行性治療

演者 岩下 拓司(岐阜大・1内科)
共同演者 安田 一朗(岐阜大・1内科), 森脇 久隆(岐阜大・1内科)
抄録 術後変更解剖症例における治療的ERCPは,小腸内視鏡を使用しても,治療を完遂することは時に困難である.このような困難例においては,経皮的や外科的処置が施行されるが,これらの代替法は内視鏡的処置に比較して高い合併症率が報告されている.【目的】ERCP困難な術後変更解剖症例の胆道病変に対するEUS下順行性治療(antegrade treatment: AG)の有用性・安全性について検討する.【方法】2012/4から2013/3までに術後変更解剖症例の胆道病変に対して治療的ERCPが失敗に終わり,EUS-AGを試みた12症例をretrospectiveに調査した.EUS-AGはEUS下に肝左葉肝内胆管を19G針で穿刺し,胆管造影を行った後,穿刺針を介してガイドワイヤー(GW)を胆管内へ順行性に留置.瘻孔部を7Fr.dilatorで拡張した後,1)悪性胆道閉塞には順行性メタリックステント留置(antegrade biliary stenting: ABS),2)吻合部狭窄には順行性バルーン拡張(antegrade balloon dilation: ABD),3)胆管結石症例にはABD後に採石バルーンで結石を腸管内に排石した.ABD施行例は経鼻胆管ドレナージ(naso-biliary drainage:NBD)を留置した.【成績】手術既往は胃切除後Roux-en-Y8例・BillrothII1例,膵頭十二指腸切除後Child法2例,拡大肝右葉切除後1例.胆道疾患は悪性胆道閉塞4例,吻合部狭窄1例,胆道結石7例.胆道結石1例では,EUS・22G針を用いた胆管造影で胆管結石を認めずEUS-AGを試みず.残りの11例でEUS-AGを試み,10例で胆管穿刺,GW留置,瘻孔拡張に成功したが,胆道結石の1例は肝内胆管拡張がなく胆管穿刺不可能.その後,悪性胆道閉塞4例にABSを,吻合部狭窄1例にABDを施行し成功.胆管結石5例は,4例でABD後に結石排石に成功したが,1例でGWが嵌頓結石を超えらずNBDを留置した.胆管穿刺が不可能であった症例は術中ERCPをGWが嵌頓結石を超えなかった症例はPTCDをそれぞれ施行した.合併症として軽症膵炎を1例と軽度腹痛を2例に認めた.【結論】EUS-AGはERCP困難な術後変更解剖症例の胆道病変に対する安全で効果的な代替療法になりうる.
索引用語 超音波内視鏡, 順行性治療