セッション情報 ワークショップ23(消化器内視鏡学会)

胆膵内視鏡のトラブルシューティング ≪ビデオ≫

タイトル 内W23-10:

術後腸管再建例における胆膵内視鏡治療トラブルシューティング

演者 石井 健太郎(東京医大・消化器内科)
共同演者 糸井 隆夫(東京医大・消化器内科), 森安 史典(東京医大・消化器内科)
抄録 【背景】近年,小腸バルーン内視鏡の登場により従来挿入困難とされてきたRoux-en-Y(R-Y)法をはじめとする術後腸管再建例の盲端部到達率は飛躍的に向上し,引き続く胆膵疾患の内視鏡治療の実行可能性も向上した.しかしERCP関連処置については通常ERCP時に比較し制限が多いため一般的に困難な場合が多く,必然的に偶発症の増加が危惧される.また実際の偶発症時の対応についても使用可能な処置具,施行可能な対処法を熟知しておくことは非常に重要であり,同時に偶発症を起こさないようにする工夫も大切である.今回我々は術後腸管症例におけるERCP関連手技の工夫や注意点,トラブルシューティングの実際を当科で経験した偶発症を交えビデオで供覧する.【偶発症の種類と対処法】当科で経験した偶発症を以下に示す.1.スコープ関連偶発症:スコープ挿入に伴う偶発症として穿孔1例(B-II),後腹膜穿孔1例(B-II)であった.対症法は穿孔例で外科治療が行なわれ,後腹膜穿孔例は輸入脚および残胃にドレナージチューブ留置し間欠的吸引とし保存的に軽快した.2.ERCP関連手技偶発症:ESTまたはprecutによる後腹膜穿孔2例(R-Y),PTBDルートを用いたランデブー法併用に伴う気腹症1例(R-Y).また高AMY血症1例(R-Y),膵炎3例(B-II1例,R-Y2例),胆管空腸吻合部切開時の出血1例(R-Y)であった.後腹膜穿孔および気腹症についてはENBD(間欠的吸引併用)行い保存的に軽快した.高AMY血症,膵炎は保存的に軽快した.吻合部切開に伴う出血については内視鏡的止血術は不十分と考えられ腹部血管造影に移行した.【注意点と工夫】1.CO2を使用.2.透視像の異常ガス像の出現に注意する.また穿孔および後腹膜が疑われた場合は直ちにドレナージ処置を行ない外科にコンサルトする.3. 深部挿管が困難な場合は可能であれば速やかにprecutやランデブー法を検討する.膵管アプローチ可能であれば膵管ステントを使用する.4.EST困難な場合は小切開に留め,EPBDまた大きな結石の場合はEPLBDを行う.
索引用語 術後腸管症例, ERCP