抄録 |
【背景】狭小管腔臓器においてはデバイスの進化においてもESD難度が高いと考えられている.そこで我々は管腔の狭い部位でも上下左右の振り幅が大きく,スコープの動作制限が少なく,且つ狭い管腔内での反転操作が容易である細径内視鏡を用いて治療を行う事を考案した.その際に必要なアタッチメントフードとしてNanoshooter(NS)(Top)を開発した.【目的】早期咽頭癌,早期食道癌,早期胃癌(胃腺腫)を対象として,NSを装着して,超低侵襲内視鏡治療(ESD)を指標に細径内視鏡ESDの有用性を検討した.【方法】NSを装着した高周波対応細径内視鏡(EG-580NW Fujinon)を用いて,それぞれの臓器での治療を行った.使用する針状ナイフ,止血処置具は自作ナイフ,自作止血鉗子を用いた.【結果】1)早期咽頭癌:中下咽頭でのESDは通常嘔吐反射が起こる為, 全身麻酔下で行う必要があった.しかし径鼻ルートで細径内視鏡を挿入する為,嘔吐反射が起こらず,キシロカイン液での局所麻酔を行う為,切開剥離の際でも静脈麻酔の必要がなく,意思疎通が出来,non sedationでのESDを行う事ができた.これは他臓器でも応用が出来ると考えた.2)早期食道癌:病変肛門側の処理が難しい為に難易度が高いのだが, 病変肛門側で細径内視鏡を食道内反転することができる為,肛門側の切開剥離処理が容易であった.3)早期胃癌:前庭部肛門側から幽門輪にかけての腫瘍において早期食道癌と同様に病変肛門側の処理が難しい為に難易度が高い.その為十二指腸球部での反転操作が必要となるのだが,食道と同様に反転が容易で肛門側の切開剥離処理が安全に行えた.【考察】ESD治療において処置具デバイスは更に進化していくと考えるが,今後はハードとしての細径内視鏡が治療として進化していくと考える.これは径鼻ルートで細径内視鏡を挿入する為,高齢者,心肺疾患をもつHigh riskの患者に対して,Non sedationでの細径内視鏡ESDが可能となると考えるからである.今後さらなる改良にて細径内視鏡における様々な治療の可能性が開けると考えた. |