セッション情報 ワークショップ24(消化器内視鏡学会・消化器がん検診学会合同)

細径内視鏡を活用した消化器診療

タイトル 内W24-5:

細径内視鏡を用いた消化管瘻からの内視鏡診療

演者 西脇 伸二(西美濃厚生病院・内科)
共同演者 畠山 啓朗(西美濃厚生病院・内科), 岩下 雅秀(西美濃厚生病院・内科)
抄録 【目的】細径内視鏡を用いることにより,胃瘻をはじめとした消化管瘻からの内視鏡アプローチが可能となった.当院での細径内視鏡を用いた経瘻孔内視鏡について検討を行った.【方法】当院において2003年4月より2013年1月までに施行した経瘻孔内視鏡(経胃瘻,経空腸瘻,経盲腸瘻)について検討を行った.通常観察は定期的なカテーテル交換時に,処置目的の場合は随時カテーテルを抜去し,瘻孔より細径内視鏡を挿入し行った.【成績】経胃瘻内視鏡は349例に対し観察目的に1076回,処置目的に96回施行した.処置の内訳は経胃瘻空腸カテーテル留置34回,空腸瘻造設36回,内視鏡的粘膜切除(ESDの補助, EMRなど)7回,消化管ステント留置5回,イレウスチューブ留置3回,瘻孔損傷時の瘻孔確保8回,胆管ドレナージ3回であった.経空腸瘻内視鏡は31例に対し観察目的4回,処置目的が38回であった.処置の内訳はカテーテル交換の補助29回,空腸カテーテル延長留置2回,瘻孔損傷時の瘻孔確保2回,胆管ドレナージ1例であった.経盲腸瘻内視鏡は処置1回(結腸ステント留置)であった.観察目的で施行し,造設後新たに出現した病変は,逆流性食道炎38例,瘻孔周囲のポリープ様病変37例,胃十二指腸潰瘍11例,上部消化管悪性腫瘍5例(うち早期癌4例)であった.処置内視鏡のうち空腸瘻造設の3例,消化管ステントの1例,瘻孔損傷時の瘻孔確保1例,経空腸瘻消化管ステントの1例は施行に失敗したが,その他は成功した.合併症ではESD補助で気腹1例,空腸瘻造設で気腹1例,結腸誤穿刺1例を認めた.【結論】瘻孔からの内視鏡アプローチは侵襲が少なく,高齢で寝たきりの患者でも安全に施行可能である.カテーテル交換時の観察は新たな病変を早期に診断し,治療を行うことが可能である.さらに,瘻孔からのアプローチの方がより簡便に施行可能となる内視鏡処置も多い.しかし,細径内視鏡には画像分解能の低さや,狭い鉗子孔のため処置具が限られるなどの問題がある.細径内視鏡で使用可能な処置具の開発が望まれる.
索引用語 胃瘻, 細径内視鏡