セッション情報 ワークショップ24(消化器内視鏡学会・消化器がん検診学会合同)

細径内視鏡を活用した消化器診療

タイトル 内W24-7:

女性におけるstandard scopeとしての細径軟性大腸内視鏡PCF-PQ260の有用性

演者 小澤 賢一郎(市立旭川病院・消化器病センター)
共同演者 垂石 正樹(市立旭川病院・消化器病センター), 斉藤 裕輔(市立旭川病院・消化器病センター)
抄録 【背景】大腸内視鏡の挿入では,苦痛予防のため軸保持短縮法が重要であるが,女性で特に腸管の癒着,過長などの症例では,プッシュ操作主体の挿入法が余儀なくされる.しかしプッシュ挿入は,ステッキ現象が生じやすく苦痛を生じる.この問題点を解決するには,細径軟性scopeが適しているが,再loopを形成しやすく深部挿入が困難となる.【対象と方法】2005年5月から2012年12月までに,オリンパスメディカル社製PCF-PQ260(プロトタイプを含む)を用いて,3232例に対して全大腸内視鏡検査目的で原則sedationなしで検査を施行した.挿入はpush主体の挿入法で行った.PCF-PQ260はステッキ現象を防止する受動湾曲と,深部挿入性を向上させる高伝達挿入部の新機能を搭載した細径軟性scopeである.【結果】1. 3232例中,男性は795例,女性は2437例(平均年齢:63.1±15.3歳)と,75.4%は女性であった.2.3231例中,前医で挿入不能,癒着,BMI17未満,SやTの過長などの挿入困難例は1732例(53.6%)であった.3.Total colonoscopyは97.7%で可能であり,80.3%で15分以内の盲腸到達が可能であった.TCF不能例は74例で,主な原因はS,Tのたわみ(47例;63.5%),Sの強固な癒着(27例;36.5%)であった.4.sedation施行は90例(2.8%)のみであった.4.VASを用いた疼痛の評価は平均1.9±2.3と軽度で,挿入困難要素あり,なしではそれぞれ2.6±2.5,1.05±1.7(P<0.001)であった.5.通常scopeから本機種への変更を要した206例中,女性は154例(74.8%)と男性に比較して多かった.一方,本機種から通常内視鏡に変更を要した13例中,女性は2例(15.4%)と男性の11例(9例はBMI 25以上)に比較して多かった.【結論】細径軟性大腸内視鏡PCF-PQ260は挿入困難例においてもpush操作主体で苦痛の少ないTCFが可能な有用なscopeであり,男性においてはbackup scopeであるが,女性においてはstandard scopeとしての使用が可能である.
索引用語 挿入困難例, 細径軟性大腸内視鏡