セッション情報 ワークショップ24(消化器内視鏡学会・消化器がん検診学会合同)

細径内視鏡を活用した消化器診療

タイトル 検W24-9:

炎症性腸疾患の診療における超細径スコープの有用性

演者 應田 義雄(兵庫医大・内科(下部消化管科))
共同演者 小川 智広(兵庫医大・内科(下部消化管科)), 堀 和敏(兵庫医大・内科(下部消化管科)DELIMITER兵庫医大・内科(上部消化管科))
抄録 【背景】炎症性腸疾患(IBD)患者に対する大腸内視鏡検査は,炎症,狭窄,癒着,被験者の検査に対する疼痛閾値の低さなどの理由で,時に挿入困難に陥る.それに対する鎮痛剤や鎮静剤の使用は,検査中の被験者の訴えがマスクされ合併症を引き起こす危険がある.近年,超細径,高伝達挿入部,受動湾曲の機能を搭載し,挿入容易化及び患者苦痛軽減をねらったスコープであるオリンパスPCF-PQ260(以下新型スコープ)が,開発された.当施設で,新型スコープを用いてIBD患者の大腸内視鏡検査を行い,検査後にアンケート調査を行ったところ,新型スコープはIBD患者にとって非常に受容の高いスコープであることがわかった.【目的】IBDの大腸内視鏡検査に新型スコープを用いることにより被験者の苦痛軽減につながるか,従来型細径スコープ(オリンパスPCF-Q260A(以下従来型スコープ)の使用と比較し,安全性を含めた有用性を評価すること.【対象・方法】対象は,主に炎症の評価を目的に無鎮痛,無鎮静で全大腸内視鏡検査を施行されるIBD(潰瘍性大腸炎(UC):84例,クローン病(CD):33例).被験者を無作為に新型スコープ使用群と従来型スコープ使用群の2群に割り付け,被験者の苦痛の程度を,視覚的アナログスケール(以下VAS)を用いて評価した.また挿入の容易性(盲腸挿入完遂率,盲腸到達時間),安全性(合併症の有無)も評価した.【結果】両群の患者背景(年齢,性別,疾患活動性,罹患範囲)に有意差は認められなかった.VASの評価はUC,CDとも新型が従来型より有意に低かった (UC:新型14(0-62), 従来型32(0-100), p=0.005)(CD:新型29(0-68),従来型 50(8-90) p<0.05).両群間の盲腸挿入完遂率,盲腸到達時間に有意差は認められなかった.【結論】IBDに対する大腸内視鏡検査において新型スコープは,従来型スコープと比較しても挿入の容易性,安全性は変わらず,被験者の苦痛軽減効果があることが明らかとなり,有用であると考えられた.
索引用語 細径内視鏡, 炎症性腸疾患