セッション情報 |
ワークショップ24(消化器内視鏡学会・消化器がん検診学会合同)
細径内視鏡を活用した消化器診療
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タイトル |
内W24-10:クローン病狭窄性病変に対する極細径下部消化管内視鏡スコープの臨床的有用性の検討
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演者 |
森本 謙一(大阪市立大大学院・消化器内科学) |
共同演者 |
宮嵜 孝子(大阪市立大大学院・消化器内科学), 渡辺 憲治(大阪市立大大学院・消化器内科学) |
抄録 |
【目的】クローン病(CD)症例の長期予後の改善を目指した内視鏡的な粘膜治癒が注目されているが,狭窄部が通過できず,口側病変の活動性評価が困難な症例が少なくない.特にCD小腸病変は自覚症状や炎症反応値との相関性が大腸病変より低いことが知られており,好発部位の回腸終末部の正確な活動性評価のために内視鏡観察の重要性は高い.従来,我々は細径下部消化管用スコープ(PCF)で通過困難な場合,上部消化管用スコープを用いていたが,深部挿入が困難であった.極細径下部消化管用スコープ(PCF-PQ260I)は外径9.2mmで,受動湾曲と高伝達挿入部の機能による高い挿入性を有する.本スコープの臨床的有用性を検討した.【方法】明らかな高度狭窄例を除き,PCFでも通過困難な狭窄を有するCD33例(男性29名,女性4名,平均年齢38.0±9.5歳,小腸大腸型20例,小腸型7例,大腸型6例)に対してPCF-PQ260Iを用い,狭窄の通過性,狭窄口側観察を行うことによる現治療の有効性評価や治療方針変更への影響を検討した.【成績】狭窄性病変の口側の内視鏡観察成功率は57.6%(19/33)で,通過症例19例中18例(94.7%)が回腸まで到達可能であった.通過19例の平均狭窄長は19.5mmで,うち30mm以上の狭窄例(3例)や屈曲を有する狭窄例(3例)など内視鏡的バルーン拡張が困難と思われる症例においても狭窄の口側観察が可能であった.通過症例のうち,粘膜治癒確認など現治療の有効性を確認できた症例が10例(52.6%),活動性病変確認により治療強化の根拠を得た症例が9例(47.4%)と臨床的治療方針立案に有用な根拠を得た.治療強化された9例中8例が臨床的寛解例であった.【結論】PCF-PQ260Iは初心者用に開発されたスコープであるが,狭窄を有するCD症例の診療方針立案に必要な客観的所見が得られる可能性があり,有用なオプションと考えられた. |
索引用語 |
細径内視鏡, クローン病 |