セッション情報 |
ワークショップ24(消化器内視鏡学会・消化器がん検診学会合同)
細径内視鏡を活用した消化器診療
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タイトル |
内W24-11:経鼻内視鏡からのPEG注入前処置による上部・下部消化管内視鏡同日検査法(one-day method)の有用性
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演者 |
結城 美佳(出雲市立総合医療センター・内科) |
共同演者 |
駒澤 慶憲(出雲市立総合医療センター・内科), 雫 稔弘(出雲市立総合医療センター・内科) |
抄録 |
細径経鼻内視鏡検査は忍容性が高く上部消化管内視鏡検査受検率向上に寄与している.一方下部消化管内視鏡検査(CS)は依然として受検率が低くその理由に前処置への抵抗がある.経鼻内視鏡検査は咽頭麻酔が不要なため終了後早期に経口摂取が可能である.この利点を活かし経鼻内視鏡的にポリエチレングリコール(PEG)を注入するCS前処置を行いその苦痛軽減効果と上部・下部消化管内視鏡検査同日実施の安全性,有用性について前向き検討行った.【方法】対象は当院でPEG内服による通常法のCSと,翌年経鼻内視鏡的PEG注入法での上部・下部消化管内視鏡同日検査を受検した75名.前処置所要時間,盲腸到達時間,大腸洗浄度,患者アンケートによる前処置を含む検査の認容度・次回選択希望,有害事象について検討した.今回のPEG注入によるone-day methodとは通常通りの経鼻内視鏡での上部消化管検査後,内視鏡を下十二指腸角まで再挿入し鉗子孔から自作の連結チューブを用い自動注入器でPEG800mlを注入,内視鏡抜去30分後から1200mlを内服するというCS前処置法を用いた上部・下部消化管内視鏡同日検査法である.【結果】前処置所要時間は内服法180.2分,注入法144.6分と注入法で有意に短縮された.盲腸到達時間,大腸洗浄度は差がなかった.患者アンケートによる前処置の忍容性は注入法82.6%,内服法64%,腹満スコアは注入法で低かった.次回前処置選択希望は同じ前処置法,どちらでもよい,別の前処置法がそれぞれ内服法で64%,22.7%,13.3%,注入法で98.7%,0.3%,0%と圧倒的に注入法の期待度が高かった.有害事象に重篤なものは認めなかった.【考察】注入法では十二指腸にPEGが直接入ることで早期から腸蠕動を惹起しPEGの胃貯留がないため前処置時間が短く,腹満も軽減できたと考えた.【結論】本法は安全で忍容性の高い経鼻内視鏡検査の利点を損なうことなく,CS前処置時間短縮と苦痛軽減にも大変有効であり,CS受診率向上の一助となり得ると考える. |
索引用語 |
経鼻内視鏡, one-day method |